ハイリスク妊娠加算の要件見直し、継続審議に
厚生労働省は10月22日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、早産など通常よりリスクの高い分娩を扱う医療機関が算定する「ハイリスク妊娠管理加算」と「ハイリスク分娩管理加算」の算定要件に、来年からスタートする「産科医療補償制度」に加入していることを追加する見直し案を提示した。しかし、診療側、支払側の双方から反対意見が出たため、継続審議となった。
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産科医療補償制度は、加入する医療機関が日本医療機能評価機構を介して民間損害保険会社に保険料を支払い、事故発生時に同機構を通じて損保会社から保険金を受け取る仕組み。
一方、厚労省の見直し案によると、「ハイリスク妊娠管理加算」(1000点)と「ハイリスク分娩管理加算」(2000点)の現在の算定要件として、「日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の産科医療補償約款に基づく補償を実施している」との文言を追加する。診療報酬上の手当てを担保することで、医療機関の制度加入を促進する狙いがある。
厚労省によると、社会保障審議会で制度の運用について協議した際、医療関係者から「診療報酬上の対応」を求める意見があったため、この日の中医協総会に見直し案を提示した。しかし、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は「制度自体には賛成」とする一方、「民間医療保険への加入が、公的医療保険の加算の要件になるのはおかしい」と指摘。支払側の勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も、「制度がどうなるのか、まだはっきりしていない」として、現時点での要件見直しは「時期尚早」とした。
公立病院が同制度に加入するのに伴い、掛け金(一分娩当たり3万円)の支払いに関連する手続きについて、12月の地方議会で承認を得なければならないケースもあるという。このため、厚労省側は「ぎりぎりに近いタイミングだ」などとして理解を求めたが、意見集約できなかった。事務局の保険局医療課では、次の総会を「できるだけ早く」開催する方針だ。
■ハイリスク妊娠管理加算、61施設が制度未加入
厚労省は総会で、「ハイリスク妊娠管理加算」と「ハイリスク分娩管理加算」の要件について、産科医療補償制度がスタートする来年1月1日付での改正を目指していると説明。中医協で見直し案が承認され次第、新たな施設基準を告示するが、現時点でこれらの加算を算定していても、同制度に加入しなければ、要件の改正後は算定できなくなる。
同省によると、「ハイリスク妊娠管理加算」を算定しているのは今年7月1日現在、1722施設で、このうち61施設(3.5%)が制度に未加入という。一方、「ハイリスク分娩管理加算」では、算定する623施設のうち未加入なのは14施設(2.3%)。
更新:2008/10/22 17:54 キャリアブレイン
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