2008-10-21
■「外注と同じ仕事しかしないなら辞めろ」
元請けと下請けについて思うところあって書きます。最近ずっと考えていた。何ができるかなーとか思っていました。そんで、できることはあるんだろうなと思ったし、言葉は最悪だけどいわゆる「派遣」「外注」は必要悪ではないかと思い始めたところもあります。
「外注気分でいるな」
その昔、ようやくJavaなら書けるようになってきたころ、上司にこう言われた。入社当初、自分の隣の席の人が自分と違う会社の人であると知らなかったわたしには、なかなかインパクトのある台詞であったです。
背景
わたしの所属する企業はいわゆる元請けっぽいこともしている。発注元も官公庁やなんやで、ものすごい額のお金が動いたりする。ただし、けっこうでっかい企業なので、それがすべてではない。そういうSIっぽい業務の一方で、社内開発みたいのもあるし、一対一で請け負って造ることもある。
入社して配属されたチームは、そういう中で元請けと発注元(外に出さない製造請負っぽいのも含む)との中間くらいの業務をやるとこでした。社内で完結する開発もあるわりには少数で組んで、長くても数ヶ月で終わらせる短期案件をぽんぽんやっていた。
ほかの部署だと、たとえば入社二ヶ月目から何十人もの「下請け」会社さんに指示を出さなきゃいけないとか、社外セミナーで発表するとか、そういう業務だってあるので、開発がやりたかったわたしにとっては運の良い配属だったといえます。
「協力会社」さん
あくまでも自分のチーム内では「下請け」という言葉は使いません。最近まで聞いたことがなかった。「派遣」というのも、製造に携わる会社に向かっては使わないし、「外注」「外注先」も、公の場ではあまり言わない。基本的には、「協力会社さん」と呼びます。
自分たちのことも、当然「元請け」とは言わないです。「プロパー」も社内で使ってる例はあまり知らない。「外注」に対して「内製」と言ったり、ふつうに「社員」だったりたまーに「本務者」と言う。(業務を外注している意識がないためか、「業務者」というのも聞いたことがないのですが)
呼び方がなんだって思われると思うんですけど、わたしはそういう環境で育った感じです。
ちなみに、「協力会社さんだけに造らせる」ということはほとんどなくて、協力会社さんはあくまでも「協力者」であって、基本的には社員と机を並べて同じ環境で開発していました。彼らからすれば、こちらの会社に「常駐」する形式です。
「内製」のプライド
一応会社の方針として、入社するととりあえず「技術者」として育てられる。営業職へ就く子もいましたが、それはごく少数で、ほとんど全員がシステム開発研修を受け、配属されます。そんで、本当に部署によるんだけど、一番大きな部門配下では、最初の仕事は開発です。どんな初心者も下手っぴも、最初は開発をします。
だいたいそんな仕組みなので、わたしも最初は協力会社の方々に囲まれながら開発をしていました。教えてもらうことがすごく多かった。お世話になりまくりです。今にして思えば、本末転倒もいいところだし、何を調子に乗ってたんだろうと自嘲することもしばしばですけど、当時は新しいこと覚えるのが楽しくて、そういうの教えてくれる協力会社さんはスゲーなプロだなと思ってました。
まあ言ってしまえば単なる甘ちゃんだったわけで、タイトルにも繋がるけど、ガツンとやられるわけです。
内製者が技術力を外に求めてどうする、というようなことを。
お前は彼らより歩合のいい給料をもらってんだぞ、と。外注と仲良く開発させるために雇ってんじゃねえよ、と。外注と同じ仕事しかしないなら今すぐ辞めて外注になれ、とね。
怒りと諦めと、展望
教育の手段として、上のような台詞はどうかと思いますし、今もああいった言い方にはしみじみ腹立ちますけど、ただもうそれらの言葉は100%正しかったわけで、わたしは甘えたですから最初すごく働くのが嫌になって、本気で辞めてやろうとか思ったし、プライドとか言うならなんで内製だけで造らんねんとか、じゃあ給料要らんとか、100%正しいことを言われただけに反抗心でいっぱい、荒んで頭は金髪にするしでオーイどこのヤンキーだ!! みたいな、そんな時期がわたしにもありました。
が、わたしに限って言えば、最終的には自分が変わろうと思いました。
それからですね、わたしは協力会社さんと「仲良く」するのはやめて、あくまでもビジネスとしてやり取りができるようにと、マネジメントの勉強とか始めました。まあ別に勉強したからといって一朝一夕にできないですし、開発も続けてやってましたし、ですけど、意識は変えました。
飽きてきたので一言で言うと紆余曲折、あったんですね。
「契約」の勉強も最近はし始めて、協力会社と自分の会社がどういう契約を結び、どういう約束のもとで自分たちの開発を担ってもらってるのか、聞いたり調べたりです。自分の会社についてもよく知らなかったんだなーなんて思ったですね。
一度「俺の契約した外注とお前が技術の話をするな」的なこと言われた事件もあったりで、なんか世間怖いなあと思ったこともあったよ。
余談:親に感謝した
明らかに開発が下手な自分のほうが、彼らより給料を多くもらっていると聞いたとき、ジレンマでとてもじゃないけど生きていられないくらい死にたくなったことがあるんですけど、このとき自分で自分を助けるためにしていた言い訳が、「彼らも自分の人生は自分で選んだ(望むと望まざるとに関わらず)」「自分は勉強させられたと思ってたけど新卒でとってもらえるような大学出てよかった」ってことです。
親と、あと自分はずっと公立(国立)だったので国(税制)にもやっぱし感謝はしました。というか、そうでも思わないと我慢ならんと思ったんよ。思うだけでは何も解決になってないけどな。
自分なりのけじめ
わたしは自分から進んで勉強会やなんかに行きますし、行ったら社員に向けて情報発信します。社員として参加する以上報告が義務だと思っている。
そんで、自分から行くのには、協力会社の方々と、ビジネスの上でより良い関係でいたい、という思いもあります。
なんでかというと、彼らは発注元であるこちらの企業に「常駐」してるので、普段は同様の環境で働いてるといっても、肩身が狭い。なので、内製のわたしたちがフルタイムでえんやこら働いているときに、自分だけ外の勉強会とか、なかなか行けないのだと思います。まあわたしたちが発注元なのでわたしたちが働くのは当たり前なんだが、人間は真四角ではない。
だからわたしは、たまには内製だって勉強に行くよー、というのを知ってもらうことで、何かにならないかなーと思ったりしているわけです。
あと、わたしは自分を暇にしてでも、ある程度の分量の業務が協力会社さんにまわるのが当然だと思っていて、それは、常駐先で暇にされるほど理不尽なことはないだろうと思うからです。そんなん、わざわざ契約して人ひとり派遣してもらってる意味がない。
逆に、わたしは自分が暇になったのなら、「自分で仕事を見つける」という業務をこなすのが、発注元の役割だと思っているところがあって、それでバランスが取れたらなあと考えているわけです。
もしも表面上だけでなく「協力」関係でビジネスが出来るなら、そこで元請け下請けの呪縛からは逃れられるだろうし、正当に「雇用」を生む経営的行為かもと思うなあ。必要悪というのは、そういう意味です。
まとめ:手の届く範囲から、でも視野は広く
わたしは色々あって今は今のようなスタンスでやってて、非常にまあアホみたいな飲み会に参加しとることもあるし、ほとんどの場合は有意義極まりない集いなのだけども、手の届く範囲内でも範囲外でも、平然と理不尽がまかりとおる中でそれでも手の届くと思われる範囲内だけは、言い訳なりとも自分なりの理由を語れる行動をしようと思っています。
給料に恥じない仕事をして、その給料で乙女ゲーとかBLとか買って、ウキウキしてようと思います。
アッーまた超長く語ってしまった。勘違いとか書いてたらごめんなさいです。業界ってでっかいなーァ。