2回目の議論は、少人数学級です。08年9月にOECD(経済協力開発機構)がまとめた「図表で見る教育08」によると、日本の公財政教育支出の対GDP(国内総生産)比は3・4%。フランスの5・6%、米国の4・8%に比べ、大きな差があり、調査対象28カ国中、最下位となっています。
文部科学省は7月、公財政教育支出をOECD平均並みにする数値目標を教育振興基本計画に盛り込もうとしましたが、「日本は少子化が進んでいるため、1人当たりの教育予算は英米など主要国とほぼ変わらない」との財務省の反対などで見送られました。でも、教育への公費支出が小さいため各家庭の負担が重くなり、少子化につながっているとは考えられないでしょうか? 同じ調査によると、日本の教育費全体に対する私費負担の割合は31・4%と、加盟国中第3位の水準に達しています。
日本の小学校の1クラスは平均28・3人と、OECD平均21・5人より30%以上大きく、加盟国中、下から2番目です。中学の33・3人はOECDの24・0人を39%上回っています。この数値は全国平均で、東京都内では小学校の54%、中学校の78%が31人以上の学級となっています。
広島大大学院の山崎博敏教授(教育学)の調査では、理想的な1クラスの児童生徒数について、21~25人と答える小・中学校教員が多数を占めました。全国学力テストで2年連続トップとなった秋田県は、01年度から小学校1、2年と中学1年の3学年で30人前後の少人数学級を導入したのが功を奏したのではないかと自己評価しています。
一方、少人数学級にはコストがかかります。鹿児島県の教員人件費は30人学級の導入で、05年度の2・8億円から、06、07年度は5・9億円になりました。しかし、教員を雇ったり、校舎を増設したりすることは、即座の景気対策になるし、子どもたちという、私たち国民の最大の資産への投資にもなるはずです。国の定める学級人数規定の上限を現在の40人から25人に改めるよう提案します。コメントお待ちしています。(かつま・かずよ=経済評論家)
このコラムでは、私たちの身近にある、さまざまな話題を経済という視点から取り上げ、将来の方向性をみなさんと一緒に議論していきたいと思います。
最初は「マイカーを持つべきか」です。まず、マイカー保有のコストと効用を比べてみます。
コストとして、マイカー保有にはまず、買った時に自動車取得税と重量税、自賠責保険料がかかります。さらに維持費として自動車税が年間7200~11万1000円かかり、車検、駐車場代とガソリン代もかかります。車の減価償却代と合わせると、年間20万円以上が必要です。
効用は、行動の自由度が広がることです。自分の空間がもてる、知らない世界に行ける、デートの時に自分の魅力が高まるなど、趣味的、精神的な効用もあります。また、製造、販売、運送などを含めた自動車関連産業が国内で500万人以上の雇用を生んでいます。
内閣府が発表した08年3月末での自家用車の世帯普及率は85%で、普及率は04年3月末の86%をピークに、横ばいから下落傾向となっています。背景には、ネットの普及とエコ志向の高まりがあります。ネットで買い物でき、簡単にレンタカーやタクシー送迎を申し込めるようになりました。趣味的効用はネットの方が安価です。加えて環境への配慮から、同じ移動なら、はるかに二酸化炭素(CO2)排出量の少ない公共交通、自転車、徒歩などを選ぶ人が増えています。
私は、公共交通のあまりない地方や、高齢者・子どもなどの社会的弱者がいる家庭を除き、保有について慎重に考えるべきだと思います。レンタカーや自転車などの併用で、車にかかるコストを減らし、家計の圧迫を防ぎます。一方、車が必要な家庭への、重い税負担は緩和すべきでしょう。
※勝間さんの提言いかがでしょう? 賛成・反対問わず、自由なご意見をお寄せください。皆さんの投稿のうち10月13日(月)までに掲載した中から、勝間さんが「ベストアンサー」を選びます。
総論でいえば、賛成です。
ただし、それには勝間さんが言われるとおり、それぞれの立場や住環境などに考慮する必要があり、さらに、マイカーがなくても生活していけるようなインフラを整える必要があるかと思います。
地方などは、過疎化で公共の交通手段が減りつつあり車がなければ生活していけないところもあります。そのようなところは、公共の交通手段を整えるべきでしょう。第三セクターの電車やバスなどの運営のテコ入れといったような。
また、小さな子供がいる家庭や高齢で動くに不自由な人などがいる家庭は、車に頼らざるをえないところもあります。 ただし、マイカーという形じゃなくても、地方自治体が運営する送迎タクシーなどを利用するという制度に変えてもいいですよね。実際、うちの義母は私たちが車を出せないときは、送迎タクシーを利用して病院に通っています。要介護認定を受けているのでそれくらいのお金は市からでています。こういったきめの細かい制度を早急に整えること!が重要かと思います。
翻って都市部の元気な人たちには確かにマイカーはいらない。ただ、嗜好の問題として車に乗りたい人もいるでしょう。そういう個人的な好みまで規制はかけられないですよね。これにはカーボンオフセット的な対応が可能かとも思います(そういえば、洞爺湖サミットの頃、前首相はカーボンポイントのような制度をすぐにでも始めるような話をしていましたが、あれはどうなったのでしょうか?)
もちろん、マイカーなんてなくても生活はできるよという発想の転換を宣伝していくというのも大事なことだとは思います。日本のたばこに対する認識が時代によってだいぶ変わってきたのとおなじように、このように訴えていくことでマイカーへの認識もこれからはだいぶ変わっていくように思います。
ただ、エコロジーの点を考えたら日本の国だけがマイカーいらないと言っていても効果は薄いのではないかと思います。日本だけマイカーを減らしても、外国に排ガスの多い車を輸出していたのでは意味がありません。
そこにはやはり自動車産業に頑張ってもらい、低コストで性能の良いハイブリッドカーや電気自動車などの実用化を図ってもらい、そういった車を全世界に売り出していく。日本の技術力ならそういったことも可能だと思いますし、現にそういった方向に企業も動いているのではないでしょうか。