妊娠中に脳内出血を起こした東京都内の36歳の女性が今月4日夜、都立墨東病院(墨田区)など七つの病院に受け入れを断られ、約1時間20分後、最終的に墨東病院に搬送された後、手術を受けたものの、3日後に死亡していたことが分かった。墨東病院はリスクの高い妊婦に対応する都内9カ所の「総合周産期母子医療センター」に指定されているが、産科医不足のため休日の当直医が1人体制となり、救急患者の受け入れを制限していた。都は一連の経緯に問題がなかったか調査している。
都立病院を運営する東京都病院経営本部などによると、女性は4日午後7時ごろ、体調不良を訴えて江東区のかかりつけの産婦人科医院に救急車で運ばれた。脳内出血の疑いがあったため、医院の医師が墨東病院に受け入れを要請したが、「土曜日のために当直産科医が1人しかおらず、ハイリスク分べんへの対応が難しい」などの理由で断られた。
医師はその後、墨東病院に紹介された病院など六つの病院に受け入れを求めたが、いずれも新生児集中治療室(NICU)が満床などの理由で断られたという。
同7時45分ごろ、医師が再び墨東病院に連絡を入れたところ、病院側は状況が悪化したと判断し、当直以外の産科医1人を呼び出して同8時20分ごろ女性を受け入れた。同10時過ぎから脳の手術と帝王切開を行い胎児は無事生まれたが、女性は7日になって脳内出血のため死亡した。
墨東病院の林久美子事務局長は「産科医不足で土日の受け入れができず、あらかじめ周囲の病院に協力を求めていた。現状で最善の措置を採ったと考えている」と説明。受け入れが遅れたことと死亡との因果関係について病院経営本部は「何とも言えない」としている。【関東晋慈、真野森作】
毎日新聞 2008年10月22日 11時35分(最終更新 10月22日 12時34分)