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ヴェオリア、世界的な景気減速の影響忍び寄る

 パリ(ウォール・ストリート・ジャーナル)フランスの水道・廃棄物処理大手ヴェオリア・アンヴィロヌマン(NYSE:VE)(12414.FR)は19日、2008年通期の業績予想について、今年に入ってから2度目となる下方修正を発表した。これは世界経済の動揺が、金融セクターから遠く離れた企業にも影響を及ぼしている別のシグナルと言える。

 ヴェオリアの現在の予想によると、2008年の営業キャッシュフローは41億-42億ユーロ(55億-56億3000万ドル)と、前年比で約1%増加する見込み。これまでは6%増加すると予想していた。

 この発表を受けて、週明け20日のパリ証券取引所で同社株は大きく売られ、21%安の18.43ユーロで取引を終えた。

 同社はこれまで、都市化や気候変動、世界的な水需要の増大といった大きな流れに乗るとみられていた。経営陣は、景気減速期にみられる需要の大きな変動による影響を同社は多少免れているとの姿勢を崩しておらず、長期的には同社サービスに対する旺盛な需要がみられることになる、”ディフェンシブ”な投資対象だと、投資家に話している。

 アンリ・プログリオ最高経営責任者(CEO)は20日の電話会見でアナリストらに対し、「われわれのビジネスモデルは、現在の経済環境に対する抵抗力があるだろう」と語った。

 同社の株価は2006年から2008年初めまで、順調に上昇していたが、今年6月の業績予想の下方修正やほかの失策で、多くの投資家の信頼を失った。20日には、経営管理に対する懸念と来年の業績見通しがさえないことを理由に、複数の証券会社が同社株の投資判断と目標株価を引き下げた。同社株の時価総額は今年1月以降、3分の2以上減少している。

 同社の業績が来年大きく改善すると予想するアナリストはほとんどいない。プログリオCEOは、同社の廃棄物処理事業の約60%は世界経済の減速による影響を受けやすいことを認めている。

 同社が再び業績予想を下方修正したのは、廃棄物処理事業の収入が予想を下回る見通しのため。プログリオCEOによると、世界経済の減速に伴い廃棄物の量が減少したほか、同社が製造する再生紙と再生金属の価格が下落した。廃棄物処理事業による収入は全体の約28%を占めている。

 このほか、欧州は今夏、降雨量が少なかったため、水処理サービスへの需要が後退し、水処理事業の営業収入を押し下げた。また、数カ国で予定されている水道料金の値上げが遅れていることも響いた。

 しかし、プログリオCEOは「景気減速は業績予想を下方修正した理由の半分にすぎない」と主張し、先ごろ実施した買収に対する失望感が、予想を上回る業務量の減少を招いたと説明した。

 さらに2009年について、一部資産の売却を含めた配当後のフリーキャッシュフローは黒字を確保できると強調。すでに発表している10%の増配計画を維持するとともに、1億8000万ユーロのコスト削減を実施する意向を示し、「当社の収益力が来年向上することを確信している」と述べた。

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