ずっと気になっていた
ある高校への講演に先日出掛けてきました。
打ち合わせなどの連絡役をしてくださった先生が,申し訳なさそうに
「当日ほかの予定と重なってしまって,校長をはじめ結構な人数の先生が出張に出るので,聴衆が少なくて寂しいかもしれません」
とおっしゃっていたので内心ちょっと気楽な気持ちで出向いたら…,
全然少なくなかったのでむしろびっくり。
できるだけ面白くわかりやすく,でも私が大切だと思うことはきっちりお話ししよう! と思って喋らせていただきましたが,うまくお伝えできたかな…。
質疑のときには「こういうケースに悩んでいる」と具体的なケースを挙げて尋ねてくださる先生が数名いらっしゃったので,少なくとも私は「話の通じないカタブツ」だとは思われずに済んだみたいだな,とホッとしました。
そのあと不登校傾向のある事例のディスカッションをしたのですが,そこで思い掛けない先生方のしんどさを垣間見ることに…。
教室へ入れないそのこどものために相談室を開放し,各教科担任の先生がその子のための課題を用意して,それにきちんと取り組めれば教室への通常の登校=出席と同等の扱いをする,という特別態勢を学内で準備してくださっていて,実際その子は先生方の期待に応えるように毎日相談室登校を継続できていて。
こうした個別の対応は担任だけでなく各教科の先生方にもものすごく手間の掛かることでしょうし,実際先生方のがんばりや工夫がその子が「毎日登校してくる」「教室には入らないが勉強はする」という結果に結びついているのだと私には思えるのですが,先生方の認識は違ったのです。
…いくら課題を出すとはいえ,この程度の学習で卒業させていいのだろうか?
…登校したくなくなるほどイヤなことくらい誰にでもあるといえばある。でも,この子だけそのわがままを通すことができているのは果たして本当の意味でよいことなのだろうか?
と。
先生方のおっしゃることも,たしかによくわかります。
だけど,これだけ先生方が真剣に取り組んでその結果こんなにうまくいっているのに,先生方はそのうまくいっているご自分たちのがんばりを肯定的に受け止められない,とおっしゃるのです…そんなのもったいなくないですか?
だから,私としては先生方のこれまでのがんばりを改めて確認させていただいて,それがあるからこそ今その子が安定して登校や勉強を継続できているのだと思うけれど,と繰り返し何度も言わせていただきました。
先生方は頷きながら聴いてくださったので,多少は伝わったかな?
やはり真面目で責任感の強い先生ほど,せっかくいろいろな工夫をされながらそれでは不充分だと感じておられたりして。
そういうところへ介入するのも私たち精神科医の仕事! と思って,先生方に対してもこれから根気よく関わらせていただきたいな。
せっかく講演をきっかけに顔を見せ合ってつながることができたのですから,これから先も先生方とのぜひ連携を続けていこうと思います。

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