岡山市が来年四月、政令指定都市になることが正式に決まりました。
岡山市政の担当デスクに着任したばかりの二〇〇六年九月、高谷茂男市長が議会で移行の目標時期を表明したのが、実質的なスタートでした。以来、市政担当キャップを先頭に二年間、区割り問題などさまざまな局面の報道に加え、現在、第八部まで進んだ「政令市への道」などの連載記事を展開してきました。
最も大切なのは「何を伝えるか」ですが、もう一つ気を配っているのは「どう分かりやすく伝えるか」です。
というのも、政令市移行は県と市の役割分担の変更が基本。メリットは市民に見えにくく、手続きも複雑で、家庭ごみ有料化のようにストレートに読者の反応が返ってくる問題とは違います。
「ズーム」による用語解説はもちろん、「Q&A」でポイントをかみ砕いて伝えたり、視覚に訴える図や表の利用などを心がけてきました。
それでも、山陽新聞社が今夏行った市民アンケートでは、政令市への賛否に「どちらともいえない」との回答が過半数。理解が進んでいない実態は、われわれにも無視できない数字でした。
閣議決定翌日の朝刊。決定までの道のり、関係者や市民の声、課題と展望…。一面、社会面、特集面、岡山市民版と「何をどう伝えるか」を念頭に展開したつもりです。
分かりにくい、それでも伝えるべきテーマを、限られたスペースでどう報道し、読んでもらうか。新聞の基本ともいえる問題にあらためて向きあっています。
(政治部・板谷武)