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【政治】

排出量取引きょう試行 鉄鋼、電力なども参加

2008年10月21日 朝刊

 政府の地球温暖化問題に関する懇談会(首相直轄の有識者会議)は20日、国内排出量取引の制度案を了承した。21日の地球温暖化対策推進本部で正式決定し、同日から参加企業の募集を始め、制度の試行がスタートする。電力や鉄鋼など温室効果ガスの排出が多い業種も参加する。

 制度案は参加企業がそれぞれ自主的に設定した削減目標を基準とする。各企業が温室効果ガスの排出削減目標の超過分を「排出枠」として売ったり、他社から排出枠を買って未達成分を補える。

 温室効果ガスを排出する産業のうち鉄鋼と電力は、日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量の約4割を占めるが、排出量取引の導入に慎重だった。政府はこうした業種の参加を促すため、企業単位の参加が基本の制度を一部緩和、業界単位で目標を設定して参加する方式も認める方向だ。

 懇談会で麻生太郎首相は「できない理由ばかり考えるのではなく、まずやってみることだ」と指摘した。

 制度に参加する企業は目標を設定し、排出枠を取引する場合は政府の運営するシステム上に口座を開設。排出枠は当面、相対取引で、取引所取引は検討課題とする。削減目標は各企業が直近の実績を超えるように設定し、政府指定の第三者機関が検証する。

 日本の排出量取引は、政府が排出量の上限を決めて罰則を科す欧州連合(EU)方式と違い、各企業が自主的に目標を定める。排出削減効果は未知数で、懇談会でも一部委員から「(排出量の)上限を決めるべきだ」との意見が出た。

 【温室効果ガスの排出量取引】企業が温室効果ガスの削減目標を定め、目標達成が困難な企業が、目標を上回って達成した企業から「排出枠」を購入することを認め、削減を進める仕組みで、京都議定書で実施が認められた。2005年に欧州連合(EU)が始めた排出量取引では、国が企業に削減を義務づける制度が採用され、米国の州政府などを含め他国でも導入準備が進んでいる。日本の試行制度は企業の自主的な目標設定を認める点などで、これらの制度とは大きく異なる。

 

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