PROMINENCEⅠ lesson8
プロミネンスⅠ lesson8
Japan’s Goodwill Ambassadors to the world ─日本の親善大使─
①
近頃、電車やバスで漫画を読んでいる人々をしばしば見かける。会社員が通勤中にカバンから漫画雑誌を取り出してそれを読むのを見ることができる。同様に、大人と子供が並んで座り、同じ漫画雑誌を読んでいるのもしばしば見かける。あなたはこれについてどう感じるだろうか?
日本の漫画には多くの種類がある。それらの中で現在もっとも一般的なのはストーリー物の漫画である。それらはまず雑誌で出版され、その後に本として出版される。いろいろな漫画雑誌がいろいろな年齢層の読者をひきつけたものだった。しかし状況が変わった。
漫画雑誌や漫画本はいたるところで見つけられる。日本には“漫画喫茶”なるものさえある。日本ではトイレットペーパーより漫画に多くの紙が使われていると言う!
②
日本の漫画の歴史を見てみよう。ある研究によれば、日本の漫画は7世紀か8世紀に寺で始まったという。動物や人のユーモラスな絵が法隆寺の天井裏にあるのが見つかった。それらは唐招提寺の像の台座裏にあるのも見られた。それらは建築労働者によって描かれたただの落書きだと言われる。
最初の有名な漫画の一つが12世紀の始めに描かれた。描いた人は鳥羽僧正だった。彼の作品の“鳥獣戯画”、すなわち動物絵巻は4本の絵巻物で構成されていて、当時の人間と動物のユーモラスな話を物語っている。この芸術様式は最初に中国から伝えられた。当時の他の芸術様式のように、初期の日本の絵巻物の多くは宗教的題材を扱った。それらの多くもまた現在の漫画と同様にユーモラスだった。17世紀の始め頃にはそれらは宗教的題材をますます扱わなくなった。“漫画”という言葉が初めてこの芸術様式に用いられたのもこの頃である。
③
世界のいろいろな地域でさまざまな種類の日本の漫画が出版されてきた。けれども漫画がとても人気になる前にいくつか問題があった。
たとえば日本の漫画は右から左へと開いて読む。これは逆方向に読むことに慣れている外国人読者にとってはなじみのないものだった。
さらに、日本の生活様式についてあまり知らない人々にとって、日本の文化は理解しがたい部分もある。たとえば“サラリーマン”の話なんか外国人読者にとってはあまり面白くない。
けれども、そうした問題のせいで日本の漫画がアメリカで人気が出なくなるということはなかった。すべてはテレビや映画のアニメの放映から始まった。1963年に手塚治虫が書いた鉄腕アトム以来、漫画に基づいたますます多くの日本アニメがアメリカで放映されてきた。テレビの普及に伴い、さらなる需要が生まれた。日本の会社が原作本を英語で出版し、アメリカに送るほど多くの日本アニメのファンがいた。
④
なぜ日本の漫画はとても多くの読者がいるのだろうか?手塚治虫は本の中でこう述べる。「漫画には笑う以上の何かがあると思います。漫画は涙や怒り、憎しみといった話も扱います。私は必ずしもハッピーエンドではない話も作り上げました。」確かに手塚の作品にはヒューマニズムや生命への尊厳を感じる。
漫画に感動する子供たちは、高校生や大人になったあとも漫画を読むのをやめない。漫画は子供や若者が成熟するのを促すのに重要な役割を果たす。手塚が述べるように、「どんな言語で出版されようと、漫画はあらゆる国と文化の境界線を越える重要な表現様式である。漫画はただ楽しいだけでなく、世界の平和と友好に役立つものである。」
日本の漫画は世界への親善大使である。本当に良い漫画を読むことは私たちの人生と世界を変えるのに役立つかもしれない。/