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<受刑者放水死>副看守長2審も有罪 名古屋高裁

10月20日22時21分配信 毎日新聞


 名古屋刑務所(愛知県三好町)で01年12月、男性受刑者(当時43歳)の臀部(でんぶ)に消防用ホースで放水して死亡させたとして、特別公務員暴行陵虐致死罪に問われた同刑務所副看守長、乙丸幹夫被告(51)と同ほう助罪に問われた看守部長、高見昌洋被告(48)に対し、名古屋高裁は20日、乙丸被告に懲役3年、執行猶予4年、高見被告に懲役1年2月、執行猶予3年を命じた1審・名古屋地裁判決を破棄。乙丸被告に懲役3年、執行猶予5年、高見被告に懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。弁護側は上告する方針。

 最大の争点だった放水と死亡の因果関係について、田中亮一裁判長は「放水によって直腸破裂の傷害が生じ得ると認めることができる」と認定。1審同様、豚を使った放水実験に基づく検察鑑定結果の信用性を認めた。

 また、乙丸被告の放水目的について、日記に「水攻め」と記載していたことなどを挙げ「懲らしめる意図があったことは優に推認できる」、高見被告についても「乙丸被告の意図を認識していた」と述べ、「放水は清掃目的」と認定していた1審判決を事実誤認と指摘。その上で「受刑者の人格を無視した危険かつ悪質な犯行。虐待行為以外の何ものでもない」と量刑理由を述べた。

 弁護側は「温水洗浄便座より低い水圧で負傷することはあり得ない」「死因は保護房内にあったプラスチック片による受刑者の自傷行為」と無罪を主張していたが、判決は「温水便座の水流は直径が小さく、水流も少ない。比較するのは合理的でない」「プラスチック片は発見も保全もされておらず、自傷行為の可能性はなかったと認めるのが相当」と退けた。

 判決によると、01年12月14日午後2時20分ごろ、乙丸被告が同刑務所の保護房で受刑者の臀部に放水。肛門(こうもん)や直腸に裂傷を負わせ、15日未明に細菌性ショックで死亡させた。高見被告は放水に先立ち、受刑者のズボンを脱がせ手助けした。【式守克史】

 ▽主任弁護人の北口雅章弁護士の話 最初から結論ありきの非常識な判決で深い怒りを覚える。

 ▽田内正宏・名古屋高検次席検事の話 「懲らしめ目的」があったことを認定して1審判決より量刑を重くしたことは妥当だ。

 ▽高橋裕紀・名古屋刑務所長の話 司法判断を重く受け止め、適切な施設運営に努めていきたい。

最終更新:10月20日22時21分

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