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浜村社長が“2008年秋季 ゲーム産業の現状と展望”で語るゲームの未来とは?

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●進むグローバル化や異業種との交流でゲームのボーダーレス化は進む

 2008年10月17日、エンターブレイン本社にて浜村弘一代表取締役社長によるセミナー“2008年秋季 ゲーム産業の現状と展望 ゲームはゲーム機の枠を超えられるのか?”が行われた。このセミナーは、浜村社長が2008年度上半期の各ハードや日米欧各地域の市場を分析、そのデータをもとに将来の展望を語るというもの。まずは、各ハードの現状から見ていくことにしよう(数字はすべてエンターブレイン調べ)

▲エンターブレインの浜村弘一代表取締役社長による“ゲーム産業の現状と展望”が行われた。

▲セミナーにはアナリストや業界関係者らが参加している。

▲2008年度上半期にもっとも売れたハードはPSP。僅差でニンテンドーDSとWiiが続いている。


■PSP(プレイステーション・ポータブル)
 前年同期比132パーセント増の158万3731台を販売したPSPは、2008年度上半期でもっとも売れたハード。ハードを牽引したのは、カプコンの『モンスターハンター ポータブル 2nd G』で、同作の効果でPSP市場が大きく状況を変えている。『モンスターハンター ポータブル 2nd G』以降はKONAMIの『ワールドサッカーウイニングイレブン ユビキタスエヴォリューション 2008』や『無双OROCHI』といったシリーズタイトルが好調で、「ゲームファンが集まってきているという印象がある」と浜村社長は語る。さらに浜村社長が注目しているのが、セガの『ファンタシースターポータブル』。2008年7月31日に発売された同作は、9月末の段階で60万本の販売本数を突破。このヒットは、『モンスターハンター ポータブル』シリーズ以降で起きた“協力プレイは楽しい”というライフスタイルの変化に見事に対応した結果であると、浜村社長は見ている。アンケート調査によると、『モンスターハンター ポータブル』シリーズや『ファンタシースターポータブル』のようなMOタイプのゲームを遊びたいというユーザーは全体の83パーセントにもおよぶという。MOは遊ばれかたのバリエーションであり、今後はさまざまなジャンルのゲームがMO化することで、ソフトのセールスを伸ばす可能性があると浜村社長は分析する。「PSPはゲームファンが集まってきているので、プレイステーション2の後継機種的な位置づけになりつつある。新型PSP-3000による買い替え需要なども大いに期待でき、今後もPSPは人気を集めそう」と浜村社長は語った。

▲PSPのさらなる普及により、シリーズモノが人気を博している。

▲PSPの遊びかたをも変えた『モンスターハンター ポータブル』シリーズ。MOタイトルを遊びたいユーザーは83パーセントにもおよぶ。


■ニンテンドーDS
 日本市場のメインプラットフォームとして、史上最速のペースで普及しているニンテンドーDS。2008年度上半期には131万4919万台を販売したニンテンドーDSだが、じつは累計のソフトセールスランキングトップ10以内に、2008年度上半期にリリースされたタイトルが1本も入っていないという。つまり、2008年上半期にはニンテンドーDSの大ヒット作がないのだ。この理由を浜村社長は、(1)任天堂の作品供給がWiiにシフトしている、(2)その分期待していたサードパーティータイトルも思ったほど伸びていない、と浜村社長は説明。さらには、かつてのニンテンドーDSの売れ筋であった、実用系、学習系タイトルもさほど出ておらず、ハード自体の稼働率もPSPのほうが高いという現状を明らかにした。そんなニンテンドーDSの現状打開策として、浜村社長が期待しているのがスクウェア・エニックス『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』。日本を代表するRPG『ドラゴンクエスト』シリーズの最新作ともなれば、300万本のセールスは固く、ハードの普及台数などを考えると、「ひょっとしたら500万本も行くかも」(浜村)とのこと。『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』のリリースにより、ニンテンドーDSのサードパーティーの市場も、大きく広がる可能性があるかも……と浜村社長は予測する。ビッグタイトル揃いの2008年度下半期のラインアップも、ニンテンドーDSのさらなる普及の後押しをするかもしれない。さらに浜村社長が期待するのが、11月1日発売予定のニンテンドーDSi。ニンテンドーDSiのポイントは「買い替え需要を期待しているのではなく、新規ユーザーを伸ばそうとしているところ」と浜村社長は分析する。従来のニンテンドーDSは、女子高生やヤングサラリーマンといった10代や20代に少し弱いところがある。ニンテンドーDSiのカメラ機能やオーディオ機能はそういった層にアプローチするための追加要素であると浜村社長は見ているのだ。「買い替え需要ではゲームユーザーは増えませんが、新しい提案によって任天堂はさらにゲームユーザーを増やそうとしているのではないか。それにより、ゲーム人口が底上げされることになるわけです」(浜村)。ニンテンドーDSiによる提案がゲームファンにどのように受け入れられるのかは、2008年度下半期の注目ポイントのひとつとなるだろう。

▲従来のゲーム機に対する不満を補完することがニンテンドーDSの大ヒットにつながった。

▲PSPに比べると、ニンテンドーDSはサードパーティータイトルの比率が少ないという傾向がある。


■Wii
 2008年度上半期の国内における普及台数は110万5174台で、据え置き型ゲーム機としてはもっともシェアを獲得している任天堂のWii。興味深いのはWiiの普及台数の伸びとプレイステーション2の伸びとがほぼ同期しているという事実で、「このまま行けば国内普及台数が2000万台を突破するのも夢ではない」と浜村社長。Wiiはライトユーザーが多いのが特徴だが、超強力なキラータイトルがWiiには存在する。言わずと知れたカプコンの『モンスターハンター3(トライ)』だ。そのほかにも強力なラインアップが揃っているので、「サードパーティーのタイトルが売れてくると、Wiiは盤石なのでは」と浜村社長は見ている。

▲グラフを見てもわかるとおり、Wiiの普及台数の伸びとプレイステーション2の伸びとがほぼ同期している。今後どこまで伸びるのか?

▲東京ゲームショウ2008で、すさまじい人気を見せた『モンスターハンター3(トライ)』。Wiiを牽引するタイトルだ。


■プレイステーション3

 ヨーロッパでのヒットがアメリカにも訴求しつつあるというプレイステーション3は、「長期戦の構えでじわじわ売れる雰囲気がある」と浜村社長。とはいえ、国内ではヒット作になかなか恵まれず、2008年度上半期におけるハードの普及台数も35万2457台と、Wiiの3分の1程度に留まっている。ハードのさらなる普及を促すためには、もちろん、オリジナルタイトルの投入は必須になるが、それ以外の注目ポイントとして、浜村社長は(1)PlayStation Homeと(2)ブルーレイ・ディスクを挙げる。PlayStation Homeは、「正直その片鱗も見せてはおらず、キラーコンテンツに何が出てくるかによってHomeの真価がわかる」(浜村)、ブルーレイ・ディスクは「映画好きのアメリカでは、プレイステーション3ユーザーの87パーセントがブルーレイで映画を見ている」(浜村)とそれぞれ説明した。また、浜村社長が注目しているのが、プレイステーション3を介してPSPのユーザーが遠隔地のユーザーと遊べる通信システム。『モンスターハンター ポータブル 2nd G』ユーザーを対象に実施したアンケートでは、22.5パーセントが「これを機にプレイステーション3を購入したい」と回答。この数字だけを見ても、プレイステーション3とPSPによる通信機能の可能性を実感させられる。とはいえ、プレイステーション3の軸となるのは『ファイナルファンタジーXIII』のリリースと本体の値下げであることは間違いない。「本体の値段が下がってソフトが揃うと、ハードが伸びるのでは?」と浜村社長は語った。

▲ブルーレイ再生機としてのニーズも期待されるプレイステーション3。

▲浜村社長が注目するプレイステーション3を介してPSPのユーザーが遠隔地のユーザーと遊べる通信システム。22.5パーセントが「これを機にプレイステーション3を購入したい」と回答している。


■Xbox 360
 2008年度上半期の普及台数はが13万8740台と、数字だけを見れば他陣営に引き離されているXbox 360だが、前年同期比から見れば157.1パーセントも販売台数が上昇している。浜村社長も「本体の値下げとサードパーティーのソフト供給により、市場が活気づいている」と分析。今後のソフトラインアップも各社のマルチプラットフォーム戦略により、プレイステーション3の人気タイトルはほぼ遊べるので、「Xbox 360もかなりのポテンシャルを持っている」と浜村社長。「欧米では普及しているので、各メーカーも注目している。国内で本体がうまく300万台普及すると、ソフトのミリオンヒットが出る可能性も」(浜村)とのことだ。

▲値下げにより、32.3パーセントがXbox 360の購入を希望している。

▲充実したソフトラインアップと本体の値下げにより、着実に普及台数を伸ばしているXbox 360。


 ゲーム市場全体に目を転じてみると、2008年度上半期は、2007年度上半期に比べて78.7パーセントと若干市場規模を縮小している。これはおもにニンテンドーDSが販売台数を落としたのが要因だが、「ハードの普及も4年も経てば少しは落ちるのがあたりまえ」(浜村)とのこと。市場で浜村社長が注目しているのがゲームメーカーのグローバル化の流れ。2008年度上半期にメーカー別ソフト推定販売本数では、エレクトロニック・アーツが12位にランクアップ。コードマスターズなど海外メーカーが日本にスタジオを作るケースも増えてきており、海外メーカーが日本に入ってくる流れが加速するのでは……と浜村社長。一方で、国内メーカーの海外進出の例も紹介し、「世界における日本の市場規模はいま10パーセント。モノを売ってブランド力を上げようと思ったら海外しかないのかも」(浜村)と説明。その好例としてカプコンを挙げ、プレイステーション3、Xbox 360用ソフトの『バイオハザード5』は、海外流通からの期待値も高く、ワールドワイドで400万〜500万のセールスも期待できるとの声も上がっているとのことだ。

 最後に浜村社長は、今回のセミナーのサブタイトルである“ゲームはゲーム機の枠を超えられるのか?”に言及。増えてきているゲーム内広告や、『ギターヒーロー』や『Rock Band』などにより音楽のダウンロードサービスがゲームでも盛んになっている点、ハリウッドがゲームコンテンツを積極的に映画化している例などに触れ、「すべての産業のボーダーがなくなっている。ゲームは、唯一のインタラクティブなデジタルコンテンツとして、すべての産業と融合してさらに大きくなっていくのでは。もうゲーム産業はゲーム産業だけで放っておかれる状態ではなくなったのかもしれません」(浜村)と結論づけた。進むグローバル化や異業種との交流などにより、ゲームビジネスのボーダーレス化は着実に進んでいるようだ。そのさきに見えてくるゲームの未来が興味深いところだ。

▲2007年度同期に比べ、市場規模を落としている2008年度上半期。

▲2008年度上半期のソフト販売も、2007年度上半期のニンテンドーDSからバラけている。

▲唯一のインタラクティブデジタルメディアとして、ゲーム産業はデジタルコンテンツのコアとなる存在に。

▲将来のゲームビジネスは、パッケージ主体からサービス主体になると浜村社長は予想する。


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