第2次大戦中に中国から連行され、長崎県内の炭鉱で強制労働させられたとして、中国人の元労働者ら10人が国と県、採掘していた三菱マテリアル(本社・東京)と三菱重工(同)に損害賠償や謝罪を求めた訴訟の控訴審判決が20日、福岡高裁であった。牧弘二裁判長は、原告側の請求を棄却した一審・長崎地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
訴訟は03年11月、高島、端島、崎戸の3炭鉱に連行された中国人や遺族が1人2千万円の損害賠償などを求めて起こした。07年3月の一審判決は強制連行や強制労働を被告らによる共同不法行為と認定し、三菱マテリアルの安全配慮義務違反も認めた。しかし、不法行為から20年間が過ぎれば損害賠償請求の権利が消滅する民法の「除斥(じょせき)期間」を適用するなどして訴えを棄却した。
控訴審では今年2月、牧裁判長が口頭で異例の和解を打診。原告側は、国や企業からの謝罪と総額1千億円規模の補償基金の設立などを柱とする和解案を提案したが、国は応じず、判決を迎えた。
戦時中に強制連行された中国人元労働者らによる同様の訴訟は、各地で提訴されている。裁判所の判断は分かれてきたが、最高裁で昨年4月、「72年の日中共同声明により原告らの裁判上の請求権は失われた」として請求を棄却する判決が確定。ただ、「被告らが救済に向けた努力をすることが期待される」と異例の言及をしていた。