名古屋刑務所(愛知県三好町)で01年12月、男性受刑者(当時43歳)の臀部(でんぶ)に消防用ホースで放水して死亡させたとして、特別公務員暴行陵虐致死罪に問われた同刑務所副看守長、乙丸幹夫被告(51)と同ほう助罪に問われた看守部長、高見昌洋被告(48)に対する控訴審判決が20日、名古屋高裁であった。田中亮一裁判長は、乙丸被告に懲役3年、執行猶予4年、高見被告に懲役1年2月、執行猶予3年を命じた1審・名古屋地裁判決を破棄。乙丸被告に懲役3年、執行猶予5年、高見被告に懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。
1、2審とも放水と死亡の因果関係が最大の争点となった。検察側は、臀部への放水で受刑者の直腸が裂け、細菌性ショックで死亡させたと主張。弁護側は「死因は保護房内にあったプラスチック片による受刑者の自傷行為」と無罪を訴えていた。また、放水の目的について検察側は「懲らしめ目的」と主張。弁護側は「受刑者の体を清掃するための正当な職務」と否定していた。
1審判決は「死因は放水による直腸裂傷」と因果関係を認める一方、放水目的について「汚物などを除去する目的で放水していたことが黙認されていた」とし、検察・弁護側双方が控訴していた。【式守克史】
毎日新聞 2008年10月20日 14時20分(最終更新 10月20日 14時27分)