景気後退を受けて、政府・与党が追加経済対策の策定に動きだした。衆院解散・総選挙もささやかれる中、選挙目当てのばらまき対策になってはいけない。費用対効果を十分に見極めるべきだ。
麻生太郎首相は補正予算成立を見届けると、間髪を入れず政府・与党会議を開いて、追加経済対策のとりまとめを指示した。
金融危機は相次ぐ米欧の対応策にもかかわらず、収束の気配を見せず、実体経済への悪影響が出始めている。日本でも株価下落が金融機関を直撃し、一部では貸し渋り再発の懸念すら現実味を帯びてきた。
八月末に決まった先の緊急総合対策は原油をはじめ原材料価格の高騰に対処するのが狙いだった。原油価格が最高値から半値以下に値下がりした現状からみれば、やや的外れだった感がある。
その後の金融危機、さらに景気後退は大方の予想以上に深刻化している。先の対策で不十分だった部分を補う措置は意味がある。
たとえば中小零細企業対策である。安易な融資がモラルハザード(経営倫理の喪失)を招いてはいけないが、貸し渋りで健全な企業が苦境に陥ることがないよう安全網を強化するのは重要だ。
とはいえ、特定業界を狙ったばらまき対策はいただけない。
一部には早くも公共事業の積み増しを求める声も出ているが、なにやら選挙目当てのにおいがする。政策減税も検討課題に上っている。特定業界に偏った投資減税を拡大するくらいなら、本来の法人税減税を検討したらどうか。
現状でも、特定層だけの租税特別措置が数多く放置されたままになっている。減税するなら、効果に疑問がある特別措置を整理して財源に充てるべきだ。
先の対策で本年度中の実施が盛り込まれた所得税と個人住民税からの定額減税も、規模や実施方法など具体化が課題になる。
財源を赤字国債で賄っても、いわゆる埋蔵金を活用しても、政府の資産負債差額は変わらない。赤字国債の追加発行分を埋蔵金で埋め戻せば、国債残高は元と同じである。金融市場への悪影響を考えれば、当初から埋蔵金を使った方が得策ではないか。
麻生政権になって、霞が関の役所に後押しされた族議員が特定業界をてこ入れする、かつての「政官業トライアングル」が復活しつつあるように見える。票とカネをあてにしたばらまきになっては、大方の国民がそっぽを向く。
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