2008-10-18
マルチ商法の親ネズミと対決してきた
日記 | |
騙されやすい人に読んでほしい。
騙したい人にも読んでほしい。
携帯が鳴る。友人のY子からだ。
Y子「よーう ひさしぶりー」
尻「おお ひさしぶりー」
Y子「あんたにちょっと聞きたいことがあるんだけどさ、A社って会社どう思う?」
尻「A社?聞いたことないなぁ。ちょっと調べてから折り返すよ。」
典型的なマルチだった。それはもう、見事なマルチだった。
尻「調べた。ガチマルチ。もしかしてお前金払った?」
Y子「いや。まだ悩んでるんだけどね。やめた方がいいのかな?」
尻「かくかくしかじかの理由から、まず儲からない。友達もなくす。まぁ全力でやめとけ。」
Y子「うん。わかった。ありがとう。ところでさ〜」
他愛もない世間話が続き、その日は何事もなく終わった。
1ヶ月後、再びY子からの電話が鳴った。
Y子「おす」
尻「もしもし」
Y子「あんた成功したくない?」
尻「はぁ」
Y子「こないだのA社、説明会行ったんだけど、ほんと凄かったんだって!」
尻「それはよかった」
Y子「それがね、権利収入が〇〇でね、不労所得が〇〇でね、上の人はポルシェに乗っててね―」
尻「うん」
Y子「A社がね、今度上場するらしくて、それでストックオプションで何億か儲かるらしいんだよ」
尻「わかった。で、お前は既にいくら払ったの?」
Y子「いや、それは先行投資だから成功したときの額に比べたら微々たるもんなんだよ」
尻「で、いくら払ったの?」
Y子「〇〇万円・・・」
尻「それはどうやって回収するつもりなの?勧誘のあてはあるの?」
Y子「あんたとK子ちゃん」
尻「まず、俺はやらない。それとK子を誘うのもやめておけ。理由は以前言った通り。かくかくしかじか。」
Y子「何で?あんたならできるよ!!何でやらないの?チャンスだよ!K子ちゃんも親友だし一緒に成功したいしさ。」
尻「いや、無理。親友だと思うならK子は誘うな。」
この押し問答がしばらく続いた。
尻「埒があかないな。いずれにせよ、会員の収支と人数の分布、平均やばらつきに関するデータが必要。他にも色々必要かもしれないし必要ないかもしれない。」
Y子「私はそういう詳しい説明はまだよくできない。説明会に行けば説明がうまい人がいるから。入らなくてもいいから説明会だけでもきてよ。」
尻「わかった。説明会には行く。ただし、この話は一切K子にしないこと。当たり前だけどK子を勧誘しようとしてもいけない。それが守れるなら行く。」
Y子「ホント?ありがとう。説明聞いたら絶対あんたも気がかわるよ!」
尻「はいはい。K子にこの話はするなよ。」
当日
かなり大きめの会場に、100人以上集まっていた。
さすが親ネズミだけあって、説明はうまかった。
要旨は以下の通り。
・この商品は健康にいいシャンプーである。他のシャンプーを使うとガンになりやすい。
・どんな人でも3人以上ビジネスモードな人(勧誘に必死になる人)を勧誘することができる
・現段階でこれをビジネスでやっている人はS人。
・スポンサーに一流私立大学等の有名どころがついている。
・私はだいたいn階層の親ネズミであり、死ぬほど儲かっているし、周りの人たちにも感謝されている。今は好きなときに働いている生活だ。
・怪しいと思うなら、帰ってからこの会社を徹底的に調べて、それから加入してください。
・がんばればどうにかなる。
メモしている人物もちらちらみかけた。
こんなのメモしてるうちは彼等の成功は程遠いだろうな、決定的な穴があるだろ。
おしり様はそんなことを思った。
説明会後―ファミレスにて
親ネズミが私の前に座り、周りはA社の勧誘員で固められた。
席についた途端、親ネズミが切り出した。
親ネズミ「で、君はやるの?やらないの?どっち?」
尻「やりません」
親ネズミ「え?」
尻「やりません」
周りの視線がビリビリ刺さる。KY痛気持ちいい。
親ネズミ「何でこの子つれてきたの?(Y子とY子を勧誘した人に向かって)」
Y子「・・・」
親ネズミ「君の将来の夢は何?」
尻「ニートです。」
親ネズミ「人を舐めてるの?」
尻「いや、本気で思ってますよ。それはいいんですけど、さっきの説明の誰でも3人以上誘えるということと、親ネズミさんがn階層の親であることが正しいとすると、ビジネスでやる人の人数は少なくとも3のn乗になって、余裕でS人以上になるはずなのに、全く計算が合いません。カスリもしてません。どういうことですか?」
親ネズミ「それはシステムが複雑だからね。まぁやってみればわかるよ。」
尻「ですから、やるためにその説明が必要なんです。説明会なのに儲けの前提となる数字の部分に整合性がなくてどうするんですか。」
親ネズミ「わかった。やる気がないんだね。じゃあね。(親ネズミ席移動)」
こんな感じで話が途中でとぎれてしまったので、ハンバーグと米食って帰った。水は2杯飲んだ。
■追記
その後Y子との関係はどうなったの?
ということはなく、それ以後もよく話しますが、その話は全く出てこないです
・それはシステムが複雑だからね。
・まぁやってみればわかるよ。
言うことはどこのマルチでも一緒ですな。
世界で日本みたいにマルチが幅利かせてる国ってあるんだろうか…
おっしゃるとおり。アホ相手ならそれでいいと思います。
ただ、既にはてブコメで何人か指摘していますが、この親ネズミはかなり優秀だと思います。次エントリーで解説しました。
lifespielさん
他の国のお人よしさを知らないので、何とも言えないですが、おそらくどこの国でもバカは大勢いるので、それよりも、法的に禁止されているかどうか、というところが大きそうな気がします。
特に、包括的なマルチ禁止法(なんとなくえげつかったら黒)みたいな存在の有無が大きそうです。包括的な法というのは、脱税、節税、租税回避に関する法律みたいなやつのことです。
実際あるのかどうか知らないですが。
やろうかな〜やらないかな〜どうしようかな〜みたいな感じでうまくやきもきさせるのがマルチと遊ぶコツですよ。
れんさなんとかしょうほうってごうほうなんですよね?みたいなことを気弱そうに言うとか。