水都・大阪 ともらぬ灯 市、府、国 ライトアップ 3重行政そろわぬ足並み
大阪市の中心部、中之島の淀屋橋と大江橋をライトアップするため、国土交通省大阪国道事務所が3月に照明機器を設置しながら、点灯を見合わせていることが2日、わかった。大阪府が計画している別のライトラップ事業に合わせるための国側の“配慮”で、点灯時期すら決まっていない。また、周辺では20年前から市が天神橋のライトアップを実施しているにもかかわらず、橋下徹知事が、来夏の「水都大阪2009」事業で、同じ天神橋などのライトアップを打ち出しており、大阪の夜の景観をめぐって国と府、市の「3重行政」で、足並みが乱れている。
淀屋橋と大江橋のライトアップは、昨年の御堂筋開通70周年を機に計画された。ネットでのアンケートで、川の護岸からの光の照射と歩道の照明を組み合わせる方式を採用。今年3月までに約1億円をかけて護岸に照明機器を取り付けたが、一度も点灯しないまま。
府によると現在、中之島と御堂筋では「水の回廊ライトアップ事業」として大江橋近くの堂島川護岸でイルミネーション、御堂筋ではイチョウ並木にもイルミネーションを計画している。同国道事務所は「府から水の回廊ライトアップに協力してほしいと要請があり、それに合わせるため、タイミングを検討している。いつ点灯するかは未定」と説明する。
一方、府側は国道事務所に協力を要請したことは認めているものの、「ライトアップを見合わせてほしいとはお願いしていないのだが…」と話しており、国側の受け止め方とは差がある。
さらに、すでにライトアップされている橋をライトアップする計画も。来年8~10月に、川をテーマに府と市、経済界が開催する「水都大阪2009」では、橋下知事が芸術イベント中心の当初案を却下し、天神橋と難波橋、錦橋のライトアップを提案した。
ところが、このうち天神橋は大阪市が平成元年からライトアップを実施している。実行委の担当者は「天神橋は現状にプラスアルファのライトアップを行う。具体的には未定。淀屋橋など国のライトアップと連携できるならしたいが、国道事務所との協議はまだ先のこと」という。
大阪市は天神橋のほかにも水晶橋や中央公会堂などをライトアップしており、市建設局の担当者は「水都大阪にはもちろん協力するが、橋のライトアップは市が20年も前から先行してやっていること」と府と国が相次いで、ライトアップを導入することに戸惑いの声を上げている。
(2008年8月 3日 08:17)