あんパンを買うとき、こしあんよりも粒あんを選ぶ。小豆のつぶつぶとした歯ざわりが好きで、ぜんざいやきんつばにも、つい手が出てしまう方だ。もちろん赤飯には目がない。
小豆といえば北海道産が思い浮かぶが、実は岡山県も西日本では有数の産地だ。特に備中地方は北海道、兵庫県丹波地方と並ぶ三大産地と呼ばれてきた。高梁、新見といった山間部が主産地で、石灰岩質が広がって水はけがよく、昼夜の温度差が、実の生育に適しているようだ。
ただ、最近は大規模経営の北海道産や輸入物に押され、後継者不足が深刻になっているという。備中小豆にこだわる老舗の和菓子店もあると聞く。それだけに伝統ある産地が廃れてしまうのは惜しい。
備中地方の和菓子店を回る「備中・倉敷あんこめぐり」(実行委主催)のスタンプラリーが十八日から始まった。マップには四十二店それぞれ自慢のまんじゅう、もなか、もちなどが載っている。歴史や特産物を生かした多彩さに驚かされる。
小豆の産地があればこそ、花開いた“あんこ文化”ではないだろうか。あんこめぐりは、備中小豆を見直すきっかけになるに違いない。
秋の行楽シーズンもいよいよ本番だ。各地で祭りやイベントが開かれている。疲れたら甘い和菓子で一服するのがちょうどいい。