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2008-10-12 物理の世界の皆様、感謝です!

これって結構すごくない?


普通は“教えて○○”みたいなポータルの質問コーナーとかで聞くわけでしょ。はてなにもそういう機能があるんだったような気もするし。

なのに、ちきりんの場合、自分のブログで「これ知りたいっ!」って書いたら、こうやってすばらしい回答が24時間以内に集まっちゃうんだよ。

すごーい。世界を手に入れた気分だわ!(やや大げさ)


いやでも本当に、結構びっくり&感動しました。回答してくださった皆さん、どうもありがとうございました。



で、せっかくなのでまとめてみたです。


「この人に与えなければ賞の権威がなくなるとまで言われる南部さんのような研究者でも、87歳までノーベル賞を受賞できないようなことが起こるのはなぜなの?」


という超ド素人の素朴な疑問に“ちきりんブログ読者・物理班”が総力回答!

★★★


全体数のアンバランスに因るもの

(1)物理の分野も細分化され、その領域は今や非常に多岐にわたっている。一方、ノーベル賞は一年一テーマにたいして授与されるため、長期間順番が回ってこないことがある。

(2)しかも近年においては、いわゆる“ノーベル賞級”の業績は非常に多く、世界中に数多くの“いつ受賞してもおかしくない”といわれる研究者が存在している。不幸なことに存命中に間に合わない方も少なくない。


業績の分野に因るもの

(3)また理論分野の業績に関しては、理論自体がいくらセクシーでもやっぱり実験で検証されてから授与したい(すべし)、という考えがあり、理論物理家の受賞は実験技術の進歩や実験分野の研究者の功績に依存するところも大きい。

(4)ノーベル賞にも時代ごとのトレンドがあり、理論重視や実験重視、また、特定分野の重視や、実用重視などの傾向も存在する。全体の功績と賞の数のバランスがとれていない中では、こういった時流とのマッチングも受賞時期に影響する。


審査の難しさに因るもの

(5)ノーベル賞は人(=その人の総合的な業績)ではなく“特定の”業績に与えられるものである。しかし多くの業績は先任者の業績の上に積み重なる形で築かれるものでもあり、“業績のどの部分を受賞理由とするか”“その部分に最も功績が大きかったのは誰なのか”という詳細まで含めて合意に達することは専門家にとっても容易なことではない。

(6)同時に、(逆説的なことではあるが)レベルが異なるくらい画期的な業績、たとえばより抽象度の高い概念や枠組みの提唱など、については、授与審査と判断に、より時間がかかることも起こりえる。


受賞できる人数の制限に因るもの

(7)一年に一テーマでかつ3名以内という制限上の理由から、やむなくその枠から漏れてしまう場合もあるだろうし、組み合わせの妙により早めに評価される場合もある。

(8)大がかりな実験や長期間の観察が必要な実験に関しては、多数の研究者がかかわっているが、当然のことながらすべての研究者が受賞できるわけではない。


業績以外の要因に因るもの

(9)また、必ずしも自分の業績をアピールすることに積極的でない人もいるであろうし、反対に戦略的・積極的にアピールし受賞を促すような活動も影響を及ぼさないとは言い切れない。

(10)国防上の理由から画期的な業績を国際的に発表しないこともありえるし、反対に国が実験施設などに多額の投資をすることにより自国の受賞者数を増やすことに貢献することも可能といえる。


以上のひとつ、もしくは複数の複合的な理由により、「この人がもらってないなんてありえない」という人への授与が非常に遅れるケース、もしくは、授与されないままとなるケースが起こりうる。


★★★

こんな感じ?


当然、物理班の皆様により校正、ダメだししていただけるものと期待しております。


ではでは

(申し訳なくて“そんじゃーね”で終われない・・)

HAL_1920_1080HAL_1920_1080 2008/10/12 14:01 (9)に関して、アメリカの受賞者が突出して多いのは、受賞させるシステムっていうのが国家・学会・産業界で作り上げてあって・・・って昔聞いたことあります。今はどうか知りませんが。

ChikirinChikirin 2008/10/12 19:30 いかにもありそうな話ですね。友人の研究者(バイオ系)が米国の大学に移る時、「米国内に同テーマの研究をしている学者がいないか」という点をものすごく詳細に調べられる、と言ってました。受け入れるべき研究者の“マップ”的なモノを管理しているのかもしれません。
ちなみにユダヤ人の友人に言わせると「受賞者は国別ではなく民族別に集計すべき」とのことで、もちろんダントツに多いのはユダヤ人だそうです。みんな自分に有利な数え方をするんだとおもしろく思いました。ではでは

dirty_funksterdirty_funkster 2008/10/13 00:57 空気を読まずにコメントします。

ブログを書く人や、ブログにコメントしている人たちって自分の知識をひけらかすのが
楽しいからブログを書いたり、それに対してコメントしたりしてるんでしょうか?
あと、chikirinさん含め自論を展開している人たちっていうのは普段
社会生活で本音で語れないからだらだらとブログに文章を書いて息抜きしないと
しんどいような生活をされているからブログを書くのでしょうか?

あまりネットを開かない生活を送っている人間としては気になってしまって・・・
できれば「ブログ」という存在意義を簡潔にご教授願えると嬉しいです。

ChikirinChikirin 2008/10/13 11:40 そのとおりです。ブログ書くのは息抜きです。
dirty_funksterさんにとってもコメントを書くのは“社会生活で本音で語れないから息抜きになって”いそうですね・・

kaoru19kaoru19 2008/10/13 12:19 まさに、「わが意を得たり」のエントリでした。わたしのブログからリンクさせていただきました。ありがとうございます!

ChikirinChikirin 2008/10/13 19:35 ご愛読ありがとうございます! 今後ともよろしくです。