アルコール依存症に関する誤解と真実
解 説
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ちがいます。飲酒をコントロールできないのは、意志が弱いからではなく病気の症状。また、酒が切れると離脱症状(禁断症状)が出てくるので,それがつらくて飲んでしまうのです。 |
アルコール飲料の主成分は、エチルアルコールという依存性薬物。これによって起こるのがアルコール依存症です。問題なのは酒の種類ではなく、飲んだものの中に含まれているエチルアルコールの総量。アルコール度数が弱くても、たくさん飲めば同じです。ビール大瓶1本・日本酒1合・ウィスキーのダブル1杯に含まれる純アルコール分量はほぼ同じ。 |
顔が赤くなるのは、体内に入ったアルコールが分解される過程でできる有害物質、アセトアルデヒドの作用です。一般に「酒に強い」と言われる人は、このアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが正常で、分解がスムーズなので、飲んでも顔に出ないのです。反対に「弱い」と言われる人は、酵素の働きが弱い、もしくは全く働かない人で、アセトアルデヒドが長時間体内に留まり、顔が赤くなるのです。つまり、顔色が変わらない人は、たくさん飲んでも体調に異変がないため、気づかないうちに大量のアルコールを摂取してしまうことになり、かえって依存症になる危険性大なのです。 |
アルコール依存症は進行性の病気です。飲み始め→精神依存に移行する初期→病的行動が始まる依存症中期→人生が破綻し始める依存症後期へと、徐々に進行します。依存症中期からは軽い離脱症状が出て、飲酒のことで嘘をついたり、家庭内で問題が起き始めますが、たいていの人は必死に問題を隠して仕事をこなしています。仕事に明らかな支障が出て、家庭崩壊に至ったりするのは依存症後期です。早く治療を受ければ受けるほど、失うものは少なくてすみ、回復と社会復帰も容易です。ぜひ早期治療を! |
たしかに、肝障害を併発しているアルコール依存症者は多いし、専門病棟の入院患者の80%に肝障害があったという報告もあるくらい。でも、障害の出方には個人差があります。肝臓は悪くならずに、脳神経系に障害が出るタイプの人もいますので、いちがいには言えません。 |
コントロールを失う病気ですから、自己流でやめるのは無理です。けれど、治療・援助を受ければお酒をやめられます。専門の治療の場、回復を続けるための自助グループは、全国各地にあります。実際にたくさんの人が、回復し社会復帰しているのです。あきらめないで! |
はじめはストレス解消のために飲んでいたかもしれませんが、いったんアルコール依存症になってしまうと、つらいから飲んでいるのではなく、病気だから飲んでいるのです。悩みを解決するより先に、病気としてしかるべき対応を。ただ飲酒を責めたり、「酒をやめる」と誓わせても効果は上がりません。 |
アルコール依存症は、糖尿病と同じような慢性病です。回復はあっても完全に治ることはなく、病気と上手につき合っていくことが大切。飲酒のコントロールを失っているので、二度と普通の酒飲みには戻れず、少しでも飲んでしまえば逆戻りです。節酒は不可能、断酒が必要なのです。 |