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掘り出しニュース:振り込め詐欺にエクスパックの悪用増加 だます側に好都合 /山口

悪用が増加している「エクスパック」
悪用が増加している「エクスパック」

 警察や金融機関が振り込め詐欺対策としてATM(現金自動受払機)警戒を強める中、郵便事業の小包サービス「エクスパック」を悪用した詐欺が増加している。山口県警は「便利なサービスだが、だます側にとっても都合がいい。エクスパックで金を送るよう言われたら詐欺と疑って」と警戒を強めている。一方、この事態を受け郵便会社は12月からパックの表紙に「現金は送れません」と目立つように表示し、注意喚起する。【藤沢美由紀】

 ◇警戒強める県警 「送金は不可」と郵便局

 「エクスパック」は、03年から始まった全国一律500円で荷物を送れるサービス。郵便局や一部のコンビニエンスストアで専用封筒(248ミリ×340ミリ)を買い、ポストに投函するか郵便局の窓口へ持ち込めば、原則翌日に配達される。コンビニで購入でき、切手を張ることなく手軽に投かんできるのがミソ。県警捜査2課の幹部は「身近で手に入りやすい。郵便という信用性もだますのに役立つのかもしれない」と話す。

 本来、現金を送ることはできないが「郵便局が中を開けるわけにはいかず、関知できない」(日本郵便中国支社広報)ため、日本郵便は対策に乗り出した。エクスパックの封筒に既に記載している「現金・信書を送ることはできません」という注意書きを、12月からより目立つ位置に印刷し、黒字を赤色に変え「現金」の文字を大きくする。ホームページでも今月から注意を呼びかけているほか、警察の依頼があれば、注意喚起のためのチラシを郵便局の窓口で配布し、窓口でエクスパックを送ろうとする人に「現金は入ってないですよね」と声かけをする方針という。

 県内のエクスパックを使った振り込め詐欺認知件数は、全国的に振り込め詐欺被害が急増した06年に17件、07年に10件。今年は9月末現在でそれを上回る18件の被害があった。県内で05~07年のエクスパック悪用詐欺事件はすべて、「お金を貸す」と持ち掛け、その保証金名目でだまし取る「融資保証金詐欺」。しかし、今年は架空の事実を口実にした「架空請求詐欺」が18件中7件発生している。最近も、今月15日に、下関市の大学生(18)が「情報サイトの延滞料金」という名目で14万7000円をだまし取られた。防府市でも公務員の女性(37)が「出会い系サイトの利用料」として現金4万6000円をエクスパックで送るも、翌日気がついたため未遂となった事件が起きている。

 県警捜査2課によると、架空請求と見られる不審な電話がかかってきたという相談は今年9月末までに約200件に上る。同課幹部は「エクスパックを含めた架空請求の1件あたりの被害額はオレオレ詐欺に比べれば少ないが、電話の件数が多い」と被害拡大を懸念。「サイト登録料や融資という文句と、エクスパックを使えという指示があったら、まず詐欺を疑ってほしい」と注意を呼びかけている。

〔山口版〕

2008年10月19日

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