【東莞(中国広東省)=阿部将樹】輸出型企業が集積し「世界の工場」と呼ばれる中国広東省で労働者の抗議行動が相次いでいる。東莞市にある香港系大手玩具メーカーの2工場が15日、突然閉鎖され、失業した従業員による数千人規模のデモが発生。同市のペット用品製造会社でも13日、給与未払いで約1000人が抗議し、20人が警察当局に拘束された。
2工場(従業員数は約7000人)を閉鎖した玩具メーカー、合俊集団は米マテルなどにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する世界大手。8月から未払いの賃金の支払いを求めて連日、数千人が地元政府前の広場に集結する騒ぎが続いている。当局は未払い給与の補償を決めるなど、事態の沈静化に躍起だ。
香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターによると、広東省では今月13日から17日の間だけで、工場閉鎖などで労働者による数百人から数千人規模の抗議行動が5カ所で起きた。同センターは、米国に端を発した金融危機による受注減などで、同省の工場閉鎖は今後、増えるとの見方を示している。
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