メンテナンスフリーバッテリーとは
カルシウム合金などを使用することにより、電解液の蒸発、及び電解液の蒸発による補水の頻度を少なく済むように設計されたものをいいまして、
セルキャップにも電解液の蒸発を防ぐ為の加工が施されているものもあります。もちろん、セルキャップを持たない完全密封型(シールドタイプ)もこれに含まれます。
しかし・・・蒸発はほとんどしなくとも電気分解による電解液の減少もありますので、メンテナンスフリーと言えども寿命を迎えるまで点検、メンテナンスが全くいらないという訳ではないのです。
「メンテナンスフリー」という言葉につきましては、少なからず誤解を招いてる部分がございます。どうぞご留意下さい。
「バッテリー上がり」と「バッテリー寿命」について
バッテリートラブル時には「バッテリー上がり」「バッテリー寿命」「バッテリー不良」の3通りがございます。
電気の使用量が充電する量を上回って生じる充電不足の状態を「バッテリー上がり」、電気容量の縮小による劣化を「バッテリー寿命」といいます。「バッテリー上がり」では、充電器で充電することで電気容量を回復することができますが、「バッテリー寿命」を迎えた場合、充電器で充電してもその電気容量はほとんど回復されません。
自動車バッテリーそのものの寿命としましては通常3〜4年前後と言われてますが、バッテリーの寿命は、実は製品自体の性能よりもお車のご使用状況に一番大きく左右されます。一般に充放電の激しい使われ方やバッテリー温度の高い使われ方は著しく寿命を短くします。
また、ご使用頻度、走行距離の少ない車は、それゆえバッテリーは充電される機会が少ないことになりますので、慢性的な充電不足から「バッテリー寿命」よりも先に「バッテリー上がり」が訪れるケースが多くなります。
下記の項目は、バッテリー寿命を短くする傾向になります。
- 一日に何度もセルモーターを使用している。(宅配便車等)
- 夜間しか車を使用しない。(夜間専門タクシー等)
- 雨天時しか車を使用しない。(放電過多)
- 消費電力の大きな電装品を装着している。(放電過多)
- 常時、エアコンを使用している。(放電過多)
- 常時、渋滞路を走行している。(渋滞通勤等)
- 一度に走行する距離が少ない。(充電不足)
- カーオーディオに凝っている。(ハイパワーアンプ等)
- たまにしか車を使用しない。(充電不足)
- 本来より容量の小さいバッテリーの取り付け(放電過多)
ここに挙げたのはほんの一例です。
バッテリーの特性ついて
上記でもご案内した通り、バッテリーは高温にも低温にも弱いです。高温では劣化を促進させますし、低温では本来の性能を発揮できません。裏ワザ!としてスキー場などで駐車される際、車の前を風下に向け、バッテリーを毛布などで保温しておくと次の始動が容易になります。
近年主流のカルシウムタイプのバッテリーは、従来のローアンチモンタイプよりもハイパワー、長寿命、高性能ゆえに、劣化そのものが緩やかで製品寿命の直前まできちんと性能が維持される事から、製品寿命時には突然性能が劣化したように感じますので、3〜4年以上ご使用いただいているバッテリーには注意が必要です。
バッテリーの規格ついて
国産車の場合、JIS規格で定められていますのでバッテリーメーカーによっては取り付けできない・・・なんて事はございません。
例...55D23Rというバッテリーについて
55..容量(Ah)と始動性能(CCA)の関係から決められた総合性能を示します。
数字が大きいほど性能が大きい事になります。よく誤解されると思いますが、単純に
55アンペアアワー・・・という訳ではありません。
D...バッテリーの短側面(幅*高さ)の大きさを示します。A〜Hまで
8種類ございます。又、BとDでは端子の大きさも違います。
23..バッテリーの長さ部分。この場合約23cmです。
R...バッテリーのマイナス端子の位置。Rが右でLが左です。
つまり、DとRの部分が適合してスペース的な問題をクリアできれば、なにも適合表通りでなくても問題ございません。ファミリアなどは、適合表では「50D20L」となっていますが、「55D23L」でも装着可能です。容量アップにもなります。
輸入車の場合、国産車のJIS規格のように明確な規格が統合されていません。ほとんどのバッテリーメーカーはDIN規格、またはEN(ヨーロピアンナンバー)で表記していますが
独自の表記方法を採用するメーカーもありますし、米国車ではSAE規格が使われることが多いです。
例...566−38
66..DIN規格の表記で唯一はっきりとわかるのが容量(Ah)で、この場合約66アンペアアワー
例のようにDIN規格の5桁または6桁で表記するメーカーが多いのですが、デルコさんの「20−66」のように独自の表記をするバッテリーメーカーもあります。
又、大抵の欧州車は国産車でいうLターミナルレイアウトになっているのですが、もちろんマセラティ等の例外もあります。
そして多くの欧州車はバッテリー本体の台座部分(ベースホルダーと言います)を利用して車両に固定することが多いのですが、ベースホルダーにも何通りかの規格(B3.B4)がございますし、バッテリー本体の幅部分で留める車と長さ部分で留める車とがございます。
やっぱり、輸入車は適合表をアテにするしかないですかね、、、。一応、大まかな目安としては、割と出回っている欧州車でしたら、例でいう66の部分の数字が近いものでしたら、互換可能な場合が多いです。(565−30.566−18などなど)
バッテリーの保守、点検について
といっても簡単です。バッテリー内の電解液の量をチェックして下さい。UPPERとLOWERの間に液面があれば正常です。最近の車は搭載位置の関係や保護ケース等で見にくい場合が多いですけど・・・。
バッテリー内の電解液は、自然蒸発は無くとも電気分解によって減る場合があります。又、電解液不足は極板が露出、酸化してしまい劣化を促進させるばかりか、静電気発生の原因にもなりますのでバッテリーの破裂事故にも繋がります。電解液が減っていたらカー用品店等で販売されているバッテリー補充液(水道水は不純物を含んでいる為絶対にご使用にならないで下さい)を補水する訳ですが、液減りが多くなったら製品寿命が近いと判断できます。
その際、セルのバラツキを確認するためにすべての電槽の比重も一緒にチェックできれば尚よいですが、比重は液温によっても上下しますのでご留意ください。
長期間お車をご使用されない場合
お車をご使用されていない時でも、車はコンピューター、時計、ステレオ、カーナビ等のバックアップ電源としてバッテリーに蓄えた電気を常時消費しています。このように車を使っていない時に流れている電気を暗電流といい、もちろんこの状態が長期に渡ればいずれはバッテリー内に蓄えた電気は底をつきバッテリーアガリを招いてしまいます。
このような場合は、車全体の維持の為にも1ヶ月に1度位はエンジンをかけてやるなりすることが必要になるかと思いますが、アイドリング状態ではオルタネーターは本来の出力ができませんのでご留意ください。本来、多少なりとも走行することが一番だとは思いますが、それが不可能な場合は、バッテリーのマイナスターミナルを外して暗電流による電力の消費、放電を極力防止するという方法もあります。
バッテリーの充電方法と比重について
充電しようとするバッテリーの容量の10%程度(バッテリー容量50Ahだったら5A程度)の電流で、ゆっくりと時間をかけて(5〜20時間)充電します。バッテリーの容量と放電状態、充電電流によって充電する時間は変わってきますが、充電途中でガスが盛んに発生するようになったら充電終期と判断できます。充電終了後、数時間放置すると液温が常温になり電圧、比重が安定しますので、満充電時の比重が1.23Kg/L以下でしたら交換時期と判断した方が良いでしょう。
ガソリンスタンド等にある急速充電器(クイックチャージャー)は、強い電流で短時間で充電する為にバッテリーを痛め、結局長く使うことはできません。これは最後の手段、もしくはその場しのぎだと思っていただいた方が間違いございません。
バッテリー交換の目安
下記にあてはまる項目がございましたら、既に交換時期が訪れているとお考えください。
- バッテリー液の減りが激しい。
- バッテリー液の減りが各セルで偏っている。
- バッテリー液は十分入っているのにセルモーターの廻りが悪い。
- バッテリー液は十分入っているのにライトが暗い。
- 充電しても比重が上がらない。
- 1年以上、車を使用していない。
- 過去に、何度かバッテリーアガリの経験がある。
次回、もうエンジンがかからないかも知れません!?ご注意下さい!!!