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「妻追い込んだ 私も加害者だ」 福岡小1殺害、父語る(2/2ページ)

2008年10月19日3時0分

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写真富石薫容疑者の実家に弘輝君の遺影が掲げられていた=福岡市西区、恒成利幸撮影

写真富石薫容疑者

 今年2月、弘輝君を特別支援学級がある同市西区の小学校に通わせるため、3人は近くに転居した。だが、薫容疑者は8月ごろから体調がさらに悪化。育児の負担も重なり、自殺を図った。夫は「死んだら弘輝も悲しむ」とさとし、入院させる話を進めた。

 その矢先の9月18日、事件は起きた。夫は「(第三者の犯行を装った)薫の言葉を信じた」。が、4日後の朝、テレビに「母親を逮捕へ」と速報が流れる。実家で薫容疑者は泣きながら、体にできたアザの理由を母親(65)らに明かした。「全部、弘輝にされたの。あの日は特にひどかったの」

 薫容疑者は、首のコルセットの両端を引っ張って自殺しようとし、付き添っていた女性警察官に制止された。夫はその場にはいなかったが、「逮捕は信じられない、の一言だった。アザがあったことも初めて知った」と振り返る。

 県警によると、薫容疑者は「弘輝を殺し自分も死のうと思った」と供述した。夫は「薫を追い込んだ自分も事件の加害者だ。接見できたら謝りたい」と唇をかむ。「何年かは1人で事件のことを考えてほしい。自分も反省しながら待っているから」(小林豪)

    ◇

 厚生労働省で線維筋痛症の研究班長を務める聖マリアンナ医大(川崎市)の西岡久寿樹・難病治療研究センター長によると、同症は「原因不明で全身が痛くなる病気」。患者は国内に200万人と推計される。「医師や周囲から十分に症状を理解してもらえず、うつ状態になる人は多い。ただ、薬の副作用を含め、異常行動は考えられない」と話す。

 県警や地検は、薫容疑者が弘輝君の遺体を隠し周囲に捜索を頼んだとして、計画性があったかどうかを調べている。また、当時の心理状態を解明するため、専門家に精神鑑定を依頼した。

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