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【まち語りもの語り】離島の病院 宮城・網地島 最高の医療で恩返し (3/3ページ)
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「地域医療を支えるなんていう自負はありません。目に見える形で人の役に立つ仕事がしたかっただけです」。安田はこの9年を、そう振り返る。
東北大法学部を卒業後、「発展途上国の産業を支えたい」と大手商社に入社したが、直接的なかかわりの少ない仕事に満足できず、1年で退社。医学部に入り直して大学病院などに勤めた後、ボランティアでネパールへ渡り、念願だった発展途上国の医療支援に携わった。帰国直前に網小医院設立の話を聞き、島の人々と直接ふれ合える環境に魅力を感じて早乙女の依頼を快諾した。
モットーは「できることは島でする、でも絶対に無理はしない」。分からないことは各科の医師がそろうとちの木病院に電話で相談し、専門医の指示を仰ぐ。安田の専門外の治療やがんの手術なども、派遣されるとちの木病院の専門医に任せている。
「僕自身も満足はしていません。時間を見つけて勉強して、もっと最新の技術を提供できたらと思っています」
誰一人として“島を去る”選択をしなくてすむ環境は、確実に整いつつある。=敬称略
(文 今泉有美子)