社会問題化する医療不足や救急体制について考える「尼崎市民医療フォーラム」が18日、同市昭和通2のアルカイックホールで開かれた。尼崎市医師会の主催で、昨年に続き2回目の開催。市消防局長や医師、コラムニストの勝谷誠彦さんらが「どうする『尼崎の救急』」をテーマに討論した。【幸長由子】
吉田寛・同市消防局長は、同市の救急搬送件数が10年間で1・5倍に増えている現状などを説明。以前は9割の確率で、照会を繰り返さずとも緊急搬送患者を受け入れる病院が見つかったが、現在は1度の照会ですむのは約75%で、10回以上照会をかける例も年間150件あるという。吉田局長は「尼崎の救急の現状は全国的に見ても悪く、危機的だ」と警鐘を鳴らした。
受け入れる側の病院の実態について、松本強・合志病院副院長と大隈義彦・大隈病院理事長が報告。松本副院長は、ほとんどの医師が時間を惜しんで治療にあたり、病院勤務医の多くが過労死をしかねない状況と主張。「このままでは、現行の医療体制が続かない」と危機感をあらわにした。
また、軽症にもかかわらず救急要請する患者の増加など、多忙な救急現場の混乱に拍車をかけている問題も紹介された。勝谷さんは「かかりつけ医師をつくることが必要。市民一人一人が良い医療機関を選んで支えることが大切だ」と話した。
〔阪神版〕
毎日新聞 2008年10月19日 地方版