PC AUDIO technical testing
デジタルオーディオは本当に音質劣化がないのか? そして何が一番良いのか?
PC AUDIOで CD再生そしてデジタル録音。
バイナリレベルでの完全一致はあるのか?
2003/Feb/6
2003/Mar/1 追記
はじめに
PC AUDIOを初めて一番気になるのはそのデータです。
リッピング作業やCDへの焼き付け等でそのデータが変化してしまうのではないかという疑問から様々なテストをしてきました。
CDメディアによって音が違うとか様々な事が言われているからです。
今回 確実にHDDに保存されたデータのCD−Rへの保存ができたり、そして また元に戻すことができることは実験から解りましたが はたして DACまでそのデータが到達することができるのか疑問があります。
また 比較対象として 一般市販のCDプレイヤーの光出力ではどうなのか? という疑問もあります。
早速実験してみたいと思います。
HDDに納められたデータを一度CD−Rで焼き付けます。 それを PCのCD−RWからメディアプレイヤー等で再生して光出力、もう一台のパソコンで光り入力し、録音し その録音されたデータをHDD内のデータと比較しました。
もし 録音過程まででバイナリデータが完全に一致すればメディアやケーブル等の違いによる音質の違いはないはずです。
測定手法
1)CDに 1KHz正弦波 5sec、ホワイトノイズ5sec それぞれ 0dB,-10dB,-20dB,-40dB,-60dB,-80dBを焼く
2)リッピングして そのデータが全て一致しているかバイナリレベルで確認しておく。
3)CDを再生
4)MーAUDIO 光入力にて 録音
5)録音されたものを送信元のHDDに納められているデータとバイナリー比較
使用機器
1)比較使用家庭用CDプレイヤー kenwood DPF-7002 (SN比120dB、115dB DAC 4パラ、ファインドライブ)
2)光出力カード Apollo CMI8738 オーディオカード HITPOINT製 型名 HCMI−5.1CF オプションつき
3)光ケーブル ビクター安物ケーブル(大汗)、及びサウンドカード付属ケーブル(^^;
4)PC側CDROM 焼き付け用 Plextor 1210TS (12/10/32 SCSI CDーRW)
5)PC側CDROM 再生用 Plextor 2412 (24/12/32 ATAPI CDーRW)6)焼き付けCDメディア 三菱 及び 太陽誘電を使いましたが CDプレイヤーで太陽誘電は不一致データの数がばらつきましたので 三菱にて比較しました。反射率の違いによるものと推測されますが定かではありません。
実験
当初 どうやってもバイナリ一致せず、まず間接的な方法で何が悪いのかその原因を突き止めようとしました。
HDDもしくは CDを再生してそれを録音します。20回同じデータを再生し録音されたデータを比較しました。
相違数はその相違の間 データが PC Audioでは 0040H、CDプレイヤーでは 0000Hの羅列でした。
ソースが違った場合でも PC Audioでは 不一致データの個数が同じ場合には バイナリ一致します。
CDプレイヤーとでは バイナリ一致しません。CDプレイヤーも PC AUDIOと同じくデータの欠損(00H)はあるものの、録音されたもの同士ではバイナリ一致するものがあります。
source | Player | 相違の数 | 同相違データ |
HDD data | Winamp | 0 | 13 |
HDD data | Winamp | 441 | 7 |
PlextorCD | Winamp | 0 | 7 |
PlextorCD | Winamp | 441 | 13 |
CD | Kenwood | 0 | 2 |
CD | Kenwood | 441 | 9 |
CD | Kenwood | 882 | 9 |
この結果からどうやら なにやら規則的な変換が行われている模様です。というわけで下記箇所で加工されている可能性が有ると判断しました。
1,ドライバー内で加工
2,録音側ソフト
というわけで もっと詳細に、見るためにデータを 1ビットずつ解析すべく、wavフォーマットの解析をしました。
ヘッダー の後、データの個数が記録され、その後 左右 16ビット(2バイト)ずつ 計4バイト毎のPCMデータが続きます。
その結果から 自分で 解りやすいデータの羅列を作って、どういう風に改竄? (加工)されているか原因を推測することにしました。
同じ様に実験すると7FFFと記録されたデータが必ず 7FFCとなることを確認しました。なにやら規則性がありそうです。
CD プレイヤーでの録音でも詳しくは調べませんでしたが(原因究明だけなので面倒だったので)同じ様な形になりました。
というわけで 中身の違うCDプレイヤーでも同じような加工結果になるということは 録音側の関係? とも思いましたが、データが違うことに気が付き、まず 再生側をいじることにしました。
とりあえず 実績があると言う報告がある 他社製ドライバーに変えてみましたが 同じ結果でした。(大汗)
もちろん プレイヤーソフト等変えても同じだったので 可能性が高いのは録音側ということになりますよね。
友人とバイナリデータを眺めながら あーでもない こうでもない と色々話しをしている中、Windows付属「サウンドレコーダーを使って実験しました。
結果見事バイナリ一致!!
もちろん 1ビットの違いもないことを バイナリ生データで確認しました。
全データ結果
プレイヤー | 再生ソフト | 出力側カード | 録音ソフト | 入力側カード | バイナリデータ |
PXW-2410A | メディアプレイヤー9 | HCMI−5.1CF | WindowsXP サウンドレコーダー | M-AUDIO DeltaDiO2496 | 一致 |
PXW-2410A | OS付属CDプレイヤーソフト | HCMI−5.1CF | WindowsXP サウンドレコーダー | M-AUDIO DeltaDiO2496 | 一致 |
PXW-2410A | winamp3.0 | HCMI−5.1CF | WindowsXP サウンドレコーダー | M-AUDIO DeltaDiO2496 | 一致 |
PXW-2410A | MVP2000 (PlextorManager2000V1.4) |
HCMI−5.1CF | WindowsXP サウンドレコーダー | M-AUDIO DeltaDiO2496 | 一致 |
kenwood DPF-7002 | − | − | WindowsXP サウンドレコーダー | M-AUDIO DeltaDiO2496 | 不一致 |
注意)
1)出力側カードドライバ 他社製(付属ドライバー等ではバイナリ一致せず)
2)再生側OS Windows2000 SP3
3)録音側OS WindowsXP
その他の実験
(光入出力に限る)
サウンドカード | メーカー | OS | ドライバー | 出力バイナリ一致 | 入力バイナリ一致 | |
DeltaDiO2496 | M-AUDIO | WindowsXP | M-AUDIO | × | ○ | お奨め(録音のみ) ただし 高額 |
HCMI−5.1CF | HITPOINT | Windows2000 | A社 | ○ | × | 無理はあるが(汗) ちょっとお奨め(再生のみ) 購入価格2980円 |
HCMI−5.1CF | HITPOINT | Windows2000/XP | HITPOINT (C-Media) |
× | × | |
WinFast4Xsound | leadtek | Windows2000 | B社 | ○ | ○ | お奨め(特に再生) 購入価格3980円 |
WinFast4Xsound | leadtek | WindowsXP | B社 | 動作不安定 | 動作不安定 | 当方だけの現象かもしれません |
WinFast4Xsound | leadtek | Windows2000 | leadtek | ○ | 実験中 | お奨め(再生) |
注意1) WinFast4Xsoundの光出力と入力を光ケーブルで直接結んでチェックすると、実験では P3C-D(Celelon300A@450*2)で行った場合 データが1ヶどうしても0になってしまう。(最期のアドレスのみ0000Hになる)、Xeon1.5G*2の時は問題有りませんでした。多分 録音再生同時は無理があるのだと思います。
注意2)本実験は当方での実験です。他の環境では違う結果になることも予測されます。ご了解願います。
注意3)他社製ドライバーを薦めているわけではありません。実験した結果だけ と言うことでご了解ください。
注意4)leadtek Windows2000 driver は output設定で SPDIF/waveの設定がアプリを立ち上げるたびチェックし直さないとならない。
※ 現在のところ WinFast4Xsound + Windows2000 + PlextorCD-RW + Winamp が再生系では具合が良さそうです。
(Winampは 再生時ノイズが乗ることが少ない。)
録音系が、もし必要がある人は 高額ではありますが 各種設定が可能な M-AUDIO DiO2496がお奨めです。
ただし 録音がバイナリ一致する便利なソフトウエアは見つかっていません。
まとめ
今回の実験結果で私のPC AUDIO環境では
1,Plextor製 CD-RWで焼き付け、リッピングを行う際には1ビットも狂わずデータの完全コピーが可能だった。
2,HDD内のデータ、CDーRWで再生を問わず、他のPCのHDD内へ録音する過程では データの欠損が無くバイナリレベルで完全一致した。
3,ドライバーやカードの違いで、データを変えられてしまうものがある
4,今回の過程では、ジッターが発生すると考えられるCDーR部分や光関連でのデータ欠損は無かった(ケーブルを変えても変わらなかった)
現在までのところで、DACまでは完全なバイナリ一致するデータが送られる環境を構築できたと見て良いのではないかと思っています。
というわけで アマチュア測定機・・・いや 測定器というよりPCだけでバイナリ一致を目で確認できるPC−AUDIOは素晴らしいと思いました。
計測器を設計していた時代に、散々A/Dされたデータのバイナリと実際の信号データを比較したり、D/AされたデータとA/Dしたデータを比較したのを思い出しました。
間接的に アマチュアレベルでFFT等でアナログ比較してもその差は見えませんが、バイナリでしたら freeのソフトが沢山あるので 比較できます。
ただ 気になるのは 一般オーディオ機器でバイナリ一致するものが有るのだろうか? という疑問です。
ですが 10万円〜数十万円もかけて、今更買う気にもなれません。
だれか 実験できる人いないかなあ・・・・・・
あと 今回 バイナリ一致を見たときには、本当にうれしかったです。理論的には可能だと解っていても、実際に自分の目で確かめるまでは心から信用できませんので・・・・・・・で その瞬間 横にいた友人と握手をして喜んでしまいました(^^;;;