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ゾンビ映画でのお約束シーンについて

 

2001年6月7日

前回はマニアックな話題でしたが、今回もまた知ってる人にしか分からないような話題です。 というか、さらにマイナーな話題になっとります。(^^;
というわけで、ゾンビ映画。

ゾンビを題材にした映画は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』『サンゲリア』『サンゲリア2』『バタリアン』『バタリアン2』『ゾンビ3』『ビヨンド』など、結構色々あります。 中でもジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』のゾンビ三部作はホラー映画の中でもかなり有名で、この映画が基本的なゾンビのパターン、といったモノを確立したといっても過言ではないでしょう。
で、これらゾンビ映画内では、いくつかのお約束事みたいなものがあり、大抵の映画では基本的なパターン路線というのが確立されています。
よくあるモノとして、『ゾンビは超自然的な力で動く死体である』、『ゾンビは意識を持たない死体なので、痛みを感じない』、『ゾンビはなぜか人間の生肉を本能的に求める』、『ゾンビは死体だから関節が固まっているようなので、動きは鈍い』、『ゾンビの弱点は主に頭部である』、『ゾンビに噛み付かれると、そいつもゾンビになる』など。
で、これらのパターン路線を踏襲しているゾンビ映画ですが、基本的にこのような映画というのは現実ではありえないような、本当に非現実的な環境を舞台にしたものなので、映画を見ている間はツッコミ所が非常に多数発見されるわけです。
例えば、なんで死体が動いているんだとか、なんで人間の肉を食おうとするのかとか、なんで噛まれるとそいつもゾンビになってしまうんだとか、まあいろいろあるわけです。
しかし、私はその中でも結構ポピュラーだと思われる、『ゾンビの時弱点は主に頭である』という部分に関する部分に対して思うことがあるんですよ。
まあ、一体何人の人が知ってるのか?といえるほどのマニアックな話題ですけどね。

まず、ゾンビ映画における『ゾンビの弱点は頭である、したがって、頭を攻撃すれば倒せる』という法則は、ほとんどのゾンビ映画で採用されていると思われます。 実際これらの映画では登場人物達が銃でゾンビの頭を撃って倒すというシーンはよくあります。
がしかし、大抵の場合ここで『これはおかしいぞ』と思える場面が出てくるんですよね。
それは、劇中で登場人物達は銃でゾンビの頭を撃てばいいのに、体ばかり撃って弾を無駄使いし、全然倒せないまま弾切れになる。 で、最終的にそのままゾンビの餌食になってしまうというシーンがやたらに多いという事。
『頭が弱点なんだから、頭を攻撃すればいいのに、なんで登場人物達は体ばかり攻撃するの?』と、おそらく、ゾンビ映画をいくつか見た事のある人ならば、一度はこのようなツッコミを入れたことがあるんじゃないでしょうか。
でもねえ、よくあるこのシーンですが、私としては合点納得がいくような気がするんですよね。
というのも、『ゾンビの弱点は頭なので全てのゾンビに対して頭を撃てばいい』と見てる側としては簡単に一言でいいますが、しかし実際の所、銃で頭を狙い撃つというのは想像以上に難しい事なんですよね。
頭は胴体に比べてはるかに小さく、詳しい大きさはよくわからないんですが、正面から見た場合、少なくとも胴体に比べて5〜6分の1くらいの面積(見える範囲という意味)ですよね。
となると、頭を狙って撃つという事は、胴体を狙うよりも5倍ほど難しくなるというわけです。
したがって拳銃などで頭を撃ちぬくという行為は、よほど相手との距離が近い場合か、もしくはよほど射撃が上手い人でもない限り、そうそう簡単には出来ないという事になりますね。
分かりやすい例が、ガンシューティングや3DFPSタイプのゲームなど。
基本的にこのタイプのゲームでは、相手の頭を撃つと通常よりも高い得点が入ったり、大ダメージを与える事が出来ます。 しかし、やった事のある人ならばわかるでしょうが、実際にやるのはかなり難しいです。 それも一発で頭を撃ち抜くなんて、よほどそのゲームをやりこんでいる人でもない限りなかなか出来ないものです。 その上、それを連続で行うなんて、通常の人ならばまず不可能。 大抵弾が当たるのは胴体、もしくは四肢の方です。 無論、数発撃ってそのうちの一発が頭に当たればいいという設定の場合、ちょっと練習すれば頭をうつというのは可能にはなりますが、しかしそれだとさっきいったようにゾンビ映画内において弾の無駄使いをしている登場人物達と何ら変わらないモノであり、結局ゾンビ映画における弾切れと同じような現象になるでしょう。
すなわち、ゾンビ映画内においてよく見られる『ゾンビの胴体ばかりを撃って頭を撃たない登場人物達の愚かな行為』というのは、実際には愚かな行動などではなく、一般的な人物の行う行為としては特におかしくない、いうなればごく自然な行為という事なんですよね。
これは逆に考えるとわかりやすいモノで、小さな拳銃を使ってゾンビの頭を次々に撃ちぬいていくという登場人物がいた場合、それはもはや一般人という存在ではなく、アクション映画の主人公さながらなモノになってしまいます。

結論的にいうなら、彼ら−ゾンビ映画内における登場人物達がゾンビの頭を撃たずに胴体を撃ってばかりなのは、決して彼らがわざとそうしているのではなく、当たりにくい頭を狙うよりも体のほうがはるかに当てやすいからそうするのであり、また頭を狙って外れた弾が体に当たっている、となっているわけです。
したがって、彼らの行っている胴体撃ちの行為は、決してツッコミを入れる所ではなく、むしろ逆にリアリティのある行為を行っているのではないか、と私は思います。

とまあこんなところです。
むう、しかしなんですな、このようなだ〜れも目をつけないような所にスポットを当てて長々と説明文を作成するあたり、私も相当なヒマ人といえますな。
一体一体どれほどの人が、こんなマニアックなネタの内容を理解してくれる事やら。