マルチ商法と国会議員の関係が取りざたされる中、誰でも自由に執筆できるインターネットの無料百科事典「ウィキペディア」日本語版で、衆議院内のコンピューターから最近、関連記述が修正されたことがわかった。「都合の悪い部分を削除しているのでは」という声もあるが、マルチ商法業者からの献金問題で民主党を離党した前田雄吉・衆院議員などの事務所は取材に対し「うちではない」と話している。
ウィキペディアの記述を匿名で編集すると、日時のほか、使ったコンピューターのIPアドレス(ネット上の住所)が履歴に残る。IPアドレスだけでは誰が修正したかまでは簡単には特定できないが、所属組織がわかる場合もある。
履歴によれば、前田議員らが所属した「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」などの記述が10日午前中に相次いで削除されていた。IPアドレスを調べると、衆議院内からの接続を示していた。
民主党の藤井裕久・衆院議員の記述でも10日、この議員連盟の会長職にあると書いた部分が削除されていた。藤井議員の事務所によると、一度は会長に就いたが、今は違うという。しかし、これも、藤井議員や前田議員の衆院議員会館内の事務所では「編集していない」と説明。
衆院事務局によると、職員のパソコンからウィキペディアを編集できないよう対策をとっているため、職員の行為とは考えられないという。厚労省などの職員が内容を個人的に編集した行為が問題になっていたための措置という。