米ゲーム開発者の宇宙旅行、韓国企業が支払い?
今月12日、ある米国人の富豪がロシアの宇宙船「ソユーズ」で国際宇宙ステーション(ISS)へ向かった。彼の名はリチャード・ギャリオット。宇宙飛行士オーエン・ギャリオットの息子だ。米国メディアは親子2代にわたる宇宙飛行の実現という点に注目しているが、韓国人にとっては別の意味がある。彼の宇宙旅行の費用を韓国人が支払ったようなものだからだ。
2001年5月、オンラインゲーム「リネージュ」で有名なNCソフトは、ある企業を430億ウォン(約30億6100万円)という巨額で買収する契約を結んだ。その相手は米国テキサス州オースティンにある「デスティネーション・ゲームズ」というゲーム開発会社だった。表向きには吸収合併だったが、実際には大手ゲーム開発会社を「身内」にしたのだ。ストックオプション制度を利用し206万株まで購入した人こそ、リチャード・ギャリオット氏と兄のロバート・ギャリオット氏だ。
リチャード氏は伝説的なゲーム開発者だ。1980年代から2000年代まで発表した「ウルティマ」シリーズは、新作発表のたびにゲーム業界の流れを変えてきた。
だがリチャード氏は、NCソフトとの契約から6年以上たった昨年末になってようやく、NCソフトで初のオンラインゲーム「タビュラ・ラサ」を発表した。しかも、市場の評価は「時代遅れのゲーム」「エラーが多すぎてやりにくい」といった手厳しいものばかりだった。
リチャード氏を迎え入れるのに要した費用を含め、このゲームの開発には1000億ウォン(約70億1500万円)近くもの投資をしたが、今年第2四半期(4‐6月)までの売り上げは88億ウォン(約6億1700万円)に過ぎない。NCソフトの開発部門のあるプログラマーは、「社内でもリチャード氏を“金食い虫”と呼んでいる人が多い。広告塔としては十分な役割を果たしたが、開発者としては失格だ」と話す。
しかし、「金食い虫」リチャード氏への投資は成功した。1000億ウォンに及ぶ「タビュラ・ラサ」の開発費用の多くが、賃金として彼の懐に入ったからだ。ギャリオット兄弟はストックオプション制度を利用して購入した株式のうち、22万株(1.04%)を今年2月から7月にかけ売却した。リチャード氏がNCソフトに在職中に得た所得は400億ウォン(約28億1200万円)に上ると推定される。そのため、300億ウォン(約21億900万円)を超える彼の宇宙旅行の費用は韓国から出たものだと考えてもおかしくないというわけだ。
イ・インムク記者
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