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【主張】高齢者医療 現制度の周知徹底が先だ

2008.10.19 02:54
このニュースのトピックス主張

 75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度をめぐる混乱が収まらない。今月15日の保険料徴収から、サラリーマンの扶養家族など約300万人の年金天引きが始まったが、口座振り替えとの二重徴収といった誤徴収が全国で2万人以上みつかった。

 口座振り替えに変更手続きした人の天引き中止処理が、自治体のミスなどで間に合わなかったのが原因だ。4月の制度導入時にも誤徴収が続出した。

 度重なるミスは、高齢者を不安にさせるだけでなく、制度の信頼を大きく損なう。誤徴収のあった自治体が被害者に早急に返金するのはもちろんだ。

 政府や制度を運営する広域連合にも、二度と同じミスを起こさぬよう、自治体と連携して対策を講じるよう求めたい。

 こうしたミスとは別に、天引きシステムの整備が遅れていた自治体で、すでに天引きされていると勘違いした人が督促状を受け取って未納に気付くトラブルも起こった。周知不足が招いた結果だ。度重なる手直しで制度はより複雑になり、高齢者の誤解や混乱はますます広がっている。

 政府・与党は75歳で区切ることの変更を含む制度の大幅見直し方針を示したが、だからといって現行制度の説明がおろそかになってはならない。しばらくは現行制度が続く。これまでの手直しで変更となった点も多い。見直し方針の説明もいいが、現行制度を国民に丁寧に説明し、誤解や混乱の解消に力を注ぐことが先だ。

 制度の見直しで、麻生太郎首相や舛添要一厚生労働相が、高齢者の反発に重きをおくような姿勢を取っていることも問題だ。西濃運輸など健康保険組合が相次いで解散に追い込まれたのは、高齢者医療への拠出金が大幅に増えたことが主因だった。

 現行制度は、少子高齢化が進む中で、現役世代の負担が重くなり過ぎぬよう財源の半分を税金でまかない、高齢者にも応分の負担を求める仕組みだ。高齢者と現役世代の負担割合を明確にしたのもこのためだ。税投入割合を増やすことも検討されているが、その多くも現役世代の負担となる。批判をかわそうとするあまり、制度の趣旨までゆがめてはならない。

 医療保険の制度設計は一朝一夕にはいかない。多くの国民が納得する制度とすべく、幅広い世代を巻き込んだ議論が求められる。

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