金総書記重病説:軍部隊視察写真のミステリー(上)
北朝鮮は今月11日、脳血管疾患により手術を受け回復に向かっているとされている金正日(キム・ジョンイル)総書記(66)の写真を58日ぶりに公開した。今年8月15日に金総書記が人民軍の部隊を視察する写真が「労働新聞」に掲載されて以来、初めてのことだ。しかし、金総書記の動きを映した動画は報道されなかった。加えて、写真の中の金総書記の姿に病の気配が見受けられず、背景の草木の色合いも初秋のものとは見えないことから、でっち上げ疑惑も提起されている。国家情報院は「真偽は確認中」と語った。
- 写真=朝鮮中央通信
◆未明に軍部隊視察を緊急報道
朝鮮中央通信が11日未明午前1時42分ごろ、「金総書記が821部隊傘下の女性砲兵中隊を視察した」と報じたのに続き、同日午前9時ごろには、朝鮮中央テレビが金総書記の視察の様子を撮影したとする写真10枚余りを報じた。しかし北朝鮮の官営メディアは、金総書記が軍部隊を視察した日付については明らかにしていない。
韓国政府の当局者は「北朝鮮住民が皆寝ている未明に軍部隊視察のニュースを緊急報道したことや、普段なら2‐3枚公開される金総書記の写真を一度に10枚以上も公表したことは、ほとんど前例がない」と語った。北朝鮮の国内向けメディアは、12日まで金総書記の写真を何十回も繰り返し報じている。
東国大のキム・ヨンヒョン教授は「米国によるテロ支援国家指定解除発表を24時間後に控えた時点で、金総書記の健在ぶりを米国に伝える必要があったものとみられる」と語った。北朝鮮の午前1時42分は、米ワシントンでは正午ごろに当たる。最初に報道を行った朝鮮中央通信は、北朝鮮の海外向けメディアだ。韓国政府の当局者は「金総書記が正常に統治しているということを対内・対外的に誇示しようという意図がある」と語った。
また北朝鮮は、労働党創建記念日に当たる今月10日夜9時に特別放送を行い、5日付の労働新聞などに掲載された金総書記の「談話」を突然報じた。これらの点を総合し、「北朝鮮内部に、金総書記が健在であることを知らせなければならない緊急の事態が発生したのではないか」という見方もあるが、韓国政府の当局者は「特に動揺はみられない」と語った。
安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者
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