【お笑い峰打ちコラム】ドッキリの名の下に　狩野英孝に差した一筋の光明

　14日、「ロンドンハーツ」（テレビ朝日系）で久しぶりの大型ドッキリが放送された。これほど大掛かりな物は去年12月25日放送分で「麒麟」田村裕（吉本興業）が騙されて以来だ。今回のターゲットは狩野英孝（マセキ芸能社）。売れっ子芸人を集めた「結婚を前提に付き合いたい男」ランキングのブービーに選ばれたり、寝起きドッキリで明らかになったヒゲの濃さでイケメンならぬ“ヒゲメン”の称号を頂いたり、ロンハーには幾度も煮え湯を飲まされてきた狩野。今回のドッキリにもまんまと引っかかってしまった。

　狩野が騙されたのはおなじみ、「マジックメール」。「ロンドンブーツ」田村淳（吉本興業）が女性タレントになりすましてメールをやり取りする、ロンハーでは定番のドッキリ企画だ。最近のターゲットはもっぱら若手お笑い芸人。ある意味、若手芸人の通過儀礼ともいえる存在となっている。

　狩野のメールのお相手は、オシリーナこと秋山莉奈、という体裁。実際には淳が返信しているとも知らず、狩野は秋山に夢中になっていく。やっとのことでこぎつけた初デートでの狩野の愚行の数々は、ドッキリ史に刻み込まれるに違いない。初デートにもかかわらずお泊りセット持参。レストランでオリジナルソング「涙」を披露。月9の主題歌を歌うことになったという大嘘。ついには子作り宣言までしてしまう始末。そんなイケメン改めヒゲメン改め“キモメン”狩野が喰らったお仕置きは、秋山と狩野の母親がいつのまにかすり替わっているという身内オチだった。

　序破急すべてにドラマがあり、非常にいいドッキリだったと思う。なにもかもがドッキリと知りくずおれる狩野を目の当たりにし、ドッキリ界のニュースター誕生の瞬間を見た気がした。

　ドッキリといえばロンハーに並び質の高い物を提供しているのが「めちゃ2イケてるッ！」（フジテレビ系）。めちゃイケでのドッキリスターはご存知「よゐこ」濱口優（松竹芸能）だ。濱口はこれまで都合8回、大掛かりなドッキリに騙されている。何度やっても、何度でも引っかかる様は、ドッキリスター以外の呼び名が見つからない。

　そう、ドッキリはくり返される。これがお笑い界の法則だ。ところが狩野のオフィシャルブログ「狩野とアルいてく」には、こんなことが書かれている。

『どんなドッキリが来ても身を引き締めてるから二度と引っかかりませんヾ( ´ー｀)』

　もう引っかからないと自信満々の狩野が、再びドッキリという名の悪夢に翻弄されて膝を折る日は来るのだろうか。きっと来ると私は信じている。そうして狩野がかつての出川哲郎（マセキ芸能者）や、現在第一線で活躍している濱口のようなドッキリスターとなれれば、一定のニーズにより細く長く、お笑い界で生き永らえることもできるだろう。ドッキリは、芸人として短命と見られがちな狩野にとって、一筋の光明となるかもしれない。

（編集部　三浦ヨーコ）


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