阿部重夫編集長ブログ「最後から2番目の真実」
一足早く麻生太郎首相にぶら下がり取材
2008年09月24日 [ポリティクス]
私は政治記者だったことはないから、番記者の経験もなければ、国会の廊下トンビをやったこともない。公用車に同乗して話を聞いた経験はあるものの、ぶら下がり取材を体験していない。で、総理官邸で日に2回行われる番記者のぶら下がり取材をテレビで見ていて、どうしてああも下手くそなのか、不思議でならなかった。
短時間なのだから、質問も簡にして要を得なければならないのに、紋切り型の歯がゆい質問ばかり。スポーツ中継の押しつけインタビューと代わらない。福田康夫・前総理最後のぶら下がり会見でも、意味不明の質問を浴びせて、去りゆく総理をむっとさせていた。ワンフレーズを求めようとする余り、記者が痴呆になってはしようがない。
そこで、隗より始めよで、自分でぶら下がり取材を試みた。単独取材を許さない新聞の“カルテル組織”内閣記者会から雑誌は排除されているから、本来ならできない。が、間隙を縫う「突貫取材」は、「不肖宮嶋」カメラマンにも負けないつもりだ。一足先に、FACTA版ぶら下がり取材をすることで、嫉妬深い新聞の鼻をあかそう。
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――小沢民主党と総選挙で雌雄を決する麻生・自民党政権が発足するにあたって、国民にとって喫緊の課題が四つあります。第一は米国のサブプライムローンに端を発した世界的な金融危機、とりわけ信用収縮による景気への影響。国民の不安は深刻ですが、新政権はどう対処するのでしょうか。
麻生 すくなくとも日本には、1997年に三洋、山一證券、北海道拓殖銀行が相次いでつぶれた経験がある。あのときもそうだったが、実物経済としてどうなのか、システムクライシスとしてどうなのか、という議論がなされた。今回のアメリカの危機も、それを踏まえた対応を考えていかねばならない。
――第二の国民の不安は、北朝鮮の金正日総書記の重病説が流れていることです。従来のような核問題や拉致問題だけではなくなります。日本海にボート・ピープルが溢れだす事態を想定して、日本も備えが必要になるのでは。
麻生 まだ、いろいろな情報が流れていて、どうも様子がよく見えない。ただ、なんとなくおかしいとは言える。どうも(国境を接している)中国のほうが神経を尖らせている。ここは中国と一緒にやっていかなければならないと思う。ボート・ピープルと言っても、なかには武装難民が混じっているといった事態も考えられるから。
――第三の不安は、汚染米または事故米でしょう。農水大臣が辞任し、事務次官が更迭されましたが、三笠フーズからの400社近い流出先の公表や、中国産乳製品のメラミン汚染など、食品の汚染は子供を持つ親に強い不信感を植え付けました。
麻生 これはね、(汚染米を主食用などに)売ったやつが悪いということは明らか。ただ、それを管理していた側にも責任がある。食糧庁は私が政調会長のときにつぶした(現在は農水省食糧部)経緯があるが、ここを何とかしないといけない。しかし、これはうまくやらないと、だから役人を増やさないといけないという話になる。マスコミが(不安を)あおればあおるほど、そういう(役所の焼け太りの)話になる。そうならないようにしなくちゃいかんが、マスコミはそれがわかっていないな。
――最後に、安倍、福田政権と自民党政権のクビキになってきた年金問題。厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額の改ざんが6万9000件以上、舛添・厚生労働相が社会保険庁の組織的関与を認めるなど、一段と年金不信を募らせる事態となっていますが。
麻生 改ざんの話はね、これは明らかに罪ですよ。(社会保険庁の)サボタージュ、意図的に組織的にやっているとしか思えない。個人的に改ざんに関わったやつは、これはもうさっさと辞めさせなきゃならない。一方で(5000万件の)消えた年金記録問題はきっちり(記録照合をやっていかなければならない。役所としても8月も9月も進めている。こちらの問題は大きいし、改ざんの問題とは似て非なるもの。時間をかけても(記録照合を)進めなければならないという本筋は外しちゃいけない。
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と、こんな具合である。まだ所信表明演説前だから、「麻生施政方針」の詳細を聞き出すのは時期尚早だろう。が、補正予算成立後に総選挙に突入するとすれば、多少の時間はある。本職のぶら下がり記者諸君の健闘を祈る。
投稿者 阿部重夫 - 18:00| Permanent link | トラックバック (0)