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CTスキャンで死因究明 奈良県が全国で初めて、全県立病院に (2/2ページ)

2008.10.18 13:12
このニュースのトピックス子供の安全

 変死体など死因不明の遺体をめぐっては、遺族の承諾なしで行政解剖ができる監察医制度があるが、運用されているのは東京23区や大阪市など5都市のみ。奈良県など他の地域では、警察官による検視や、医師が立ち会う検案を行い、事件性があれば司法解剖に回される。

 しかし、遺体を傷つけたくない遺族の抵抗感にくわえ、医師や費用の負担が大きいことで実際に解剖されるのはわずか。厚生労働省の調べでは、平成19年度の死者約110万8000人のうち、解剖されたのは2・8%の3万154人(病理解剖含む)。18年度も2・8%台だった。奈良県医師会によると、昨年県警が異常死として扱った遺体(1584体)でも、司法解剖されたのは138体(約9%)にとどまった。

 遺体の表面だけをみる検視や検案では死因の究明には限界があるうえ、子供を虐待して死亡させた家族らが解剖に同意しないケースもある。これに対し、遺体をCTで撮影するAiでは、検案ではわからない頭部内の出血も映し出され、死因を特定しやすい。画像という「証拠」を示すことで、解剖の同意を得やすいという。

 奈良県のAi制度は、県医師会が県に働きかけて創設した「承諾解剖制度」の柱。検案医が必要性を認め、遺族が書面で承諾した場合にAiを実施。1回1万円の遺族負担を、年間20回まで県医師会が補助する。県立の三室、五條、奈良、医科大付属−の4病院で運用する。

 県医師会の槇野久春理事は「検案だけでは見抜けなかった死因を明らかにするとともに、死因を知りたいと願う遺族の気持ちに応えられれば」と話している。

 厚生労働省も「解剖不要」という利点に着目、医療事故死が疑われるケースで原因究明にあたる第3者組織として創設を目指す「医療安全調査委員会」(医療版事故調)でのAi活用を検討している。

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