伊南行政組合を構成する4市町村が、同組合運営の昭和伊南総合病院(駒ケ根市)について開く住民説明会が16日夜、飯島町を振り出しに始まった。昭和伊南側は医師不足や経営の状況、救命救急センターをめぐる経過などを報告し、病院全体で経費節減に取り組みながら、今後の方向性を「在籍している医師の得意分野を生かした診療科に特化する病院を目指す」と示した。住民からは赤字解消を懸念する指摘や、病院を守るため「市民として最大限の協力をしたい」の声が上がった。
会場の町文化館に町民ら約200人が集まり、高坂宗昭町長、昭和伊南の職員6人らが出席。高坂町長は「救命救急センターの存続を含め、住民の皆さんとともに病院を維持していきたい」と述べた。
昭和伊南の渋谷勝清事務長は、医師、患者数の減少で現在、許可病床300床のうちの204床で運営していることなどを説明。経営改善に向け、職場ごとのワーキンググループでコスト削減などを検討していると話した。
目指す方向性として、総合病院としてあらゆる診療科を掲げて常勤医を確保するのは困難との見通しを踏まえ、「現在の23人の医師を中心にした診療科に特化したい」と提示。地域に対しては、医師の負担を軽減するための掛かり付け医への受診や、昭和伊南を受診した際に医師をねぎらう言葉掛けなどの協力を呼び掛けた。
片桐志津子看護部長は、空きベッドを活用し、回復期リハビリや、ほかの医療機関での出産後の入院受け入れを検討していることを紹介した。
参加した住民の1人は経営について質問し、渋谷事務長は「医師が一気に減り、それに伴う経営改善を怠ったことは明らか。今年度も昨年度とほぼ同額の赤字を見込んでいる」とした上で、「抜本的な経営改善策を練っている」と答えた。別の1人は「地域の病院を守るために全力を尽くすと同時に、医師不足などの引き金になった外の原因に声を上げる必要がある。国に対する要望を住民全員がしていく運動を」と提案した。
住民説明会は、23、28日に駒ケ根市文化会館、27日に中川文化センター、29日に宮田村役場で午後7時から予定している。