水道料金がじわり上昇し始めた。日本水道協会によると、3人家族の一般的な使用量(1カ月20立方メートル)の全国平均料金(簡易水道を除く)は08年4月で3077円と30年前の2倍。水道事業を運営する自治体の経営合理化などで05、06年は前年比約1%ずつ値下がりしたが、07年は0・2%上昇、08年も0・4%値上がりした。水道使用量の減少や老朽設備の維持、更新が自治体の財政を圧迫しており、今後も値上げ傾向が続きそうだ。
水道料金は基本料金に使用量分が上乗せされるが、ダムなどからの水購入費、人件費、修繕費を反映するため、水源からの距離や財政状況によって自治体ごとにまちまち。20立方メートル当たりの料金は最高が北海道羅臼町の6360円で、最も安い山梨県富士河口湖町の700円の9倍もある。地下水が豊富な富士河口湖町に対し、羅臼町は水源が遠く、老朽設備の更新などで7000万円の累積欠損金がある。
各世帯が実際に払う水道料金は水の使用量に左右されるが、洗濯機の節水性能向上やミネラルウオーターの普及で使用量は減少傾向で、自治体の収入も減るため値上げ要因となる。東京都水道局によると、都内の3人世帯の1カ月の平均使用水量は94年の22・3リットルから06年は21・6リットルに減った。浄水場管理や料金徴収を民間委託し経費削減を図る自治体も多く、東京都も民間委託で職員数を大幅に削減し、05年に料金単価を約2%値下げした。
ただ、ダムなど水道設備の多くは60年代から70年代にかけて整備されており、老朽化に伴う維持・更新費の負担に耐えられない自治体も少なくなく、07年度は全国の上水道1392事業者のうち69事業者が値上げし、値下げした41事業者を上回った。【前川雅俊】
毎日新聞 2008年10月18日 東京朝刊