東京都済生会中央病院(東京都港区、高木誠院長)に勤務していた看護師の高橋愛依さん(当時24歳)が亡くなったのは長時間の過重労働が原因だとして、東京・三田労働基準監督署は過労死の労災認定をした。17日に会見した代理人の川人博弁護士によると、看護師の過労死が認定されるのは極めてまれだという。過労死を認定されにくかった不規則勤務の労働者の労災認定に影響を与えると見られる。
代理人などによると高橋さんは06年4月に同病院に就職、手術室勤務になった。07年5月28日の当直明けの朝に手術室のストレッチャーで意識不明になっているのが見つかり、致死性不整脈で同日亡くなった。亡くなる約1カ月前にも倒れたのに翌日も勤務していたことなどから両親が労災を申請した。
代理人らの調べでは亡くなる前は、月4回の24時間以上拘束の当直を含め、4月が95時間、5月は100時間残業していた。「仕事量が私のキャパ超えている」「この忙しさ……絶対事故が起きるわよ」「もう無理だよ……」などと記した日記も残っていた。病院側の記録では残業は4月が32時間、5月が15時間とされていた。
三田労基署は今月9日、月80時間近い残業を認定し、連続勤務や休日の少なさなどから過労死と認めた。24時間以上拘束の当直を勤務時間と認定したと見られる。埼玉県在住の高橋さんの父は「病院は一貫して因果関係を認めようとしなかった。認定で医療関係者に限らず労働環境の改善が近づくものと信じている」とコメントした。済生会中央病院は「決定を真摯(しんし)に受け止め、再発防止など今後の対応を協議したい」と話した。【東海林智】
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