【ロンドン=尾形聡彦、稲田清英】ウクライナ、ハンガリー、アイスランドの3カ国が国際通貨基金(IMF)への緊急支援要請の検討に入っていることが17日明らかになった。欧米主要国の金融危機が、成長のための資金を外国資本に頼ってきた新興国に燃え広がった。
支援が実現すれば、今回の金融危機でIMFの初めての介入。連鎖的な危機への対応は97年のアジア通貨危機以来になる。
IMFによると、ウクライナはIMF側とすでに協議に入った。ウクライナ側は、IMFから最大140億ドル(約1兆4千億円)の緊急融資を受けられるとみている。アイスランドには現在、IMFの調査団が入っており、アイスランド政府もIMFの支援を仰ぎたい考えだ。ハンガリーでも、IMFの支援要請の検討が進んでおり、IMF側も「支援の用意がある」と表明した。
3カ国の経済悪化を招いたのは、主要国の金融中枢の機能不全による、世界中の投資の縮小だ。とくに、比較的リスクが高いと見られる新興国から資金を引き揚げる動きが加速している。このため、東欧諸国などでは、自国通貨がドルやユーロに対して大幅に安くなったり、外貨のローンを借り換えられなかったりという問題が急拡大した。
欧州メディアによると、ウクライナでは通貨フリブナの対ドル相場が下落。投資引き揚げの動きに加え、今年に入って貿易赤字が大きく拡大している、という。株価は今年に入り、7割以上値下がりした。
資金繰りに苦しむ金融機関の経営を懸念した国民が預金引き出しに殺到、中央銀行が制限措置を実施した。政府は「昨年を上回る成長を続けており、経済は健全だ」(チモシェンコ首相)などと沈静化に必死だが、混乱が続く。