チャリティーコンサートに出演するとして興行ビザを取らずに入国したフィリピン人女性がパブで働いていたとされる入管法違反事件で、総務副大臣の倉田雅年衆院議員(69)=自民、比例東海ブロック=の元公設秘書(59)が、静岡県警に事件の関係先として捜索されたNPO法人側から報酬を得ていたことが分かった。毎月20万円は超えていたという。
こうした経緯などから県警は、パブに女性を派遣していたとされるNPO法人の中心人物は元秘書だった疑いが強いとして同法違反(不法就労助長)容疑での立件に向けて詰めの捜査を進めている。元秘書は、朝日新聞のこれまでの取材に「一連の仕組みは自分が考えた」と認めている。
調べでは、NPO法人「MIRAI」や前身の団体「未来チャリティー実行委員会」(いずれも静岡市)は、興行ビザを取らずに短期滞在ビザで来日したフィリピン人女性を、浜松市のフィリピンパブ「クラスメッツ」に違法に派遣していた疑いが持たれている。県警は同店の経営者(47)らを同容疑などですでに逮捕している。
元秘書は、現在も「未来チャリティー実行委員会事務局」という肩書の名刺を使い、朝日新聞社の取材にも「倉田先生の支援者から話があり、自分が役所と相談しながら仕組みを作った」と話した。そのうえで「06年9月から事務局としてこの組織に加わり、その約1年後から、1店舗あたり月に20万円をもらうようになった」と証言。報酬については「電話代や交通費も自腹だったため」と説明している。
さらに、元秘書はNPO法人側がフィリピン人女性を派遣していた複数のパブに、運営上のルールを文書で伝えていたことも明らかにしたうえで、「(この仕組みは)チャリティーなので違法ではない。今回の事件は店舗が私の仕組みを守らなかったためだ」と主張している。