どこかにこんな話があった。

昔、どこかであったはず。

現実に起こるまいと思っていたのに。

まさか私の身の上に起こるとは。

 

 

 

私の可愛い人だから

 

 

 

「聞いてるの、泉田クン!?……ったく、男のクセに何で私より弱いかなぁ……」

麗しき我が上司、薬師寺涼子の美声がどこか遠くから聞こえる。

「は、ぁ……すいません」

私と言えば情けないことにふらふらとして真っ直ぐに歩けやしない。

女王陛下の肩を借りるわけにはいかないので眠気と眩暈に襲われながら、私は必死に歩いていた。

 

――夜。

 

涼子と歩くと何かと事件が起こる時間帯ではあるが、私と涼子は街を歩いていた。

ただし、またも彼女の気まぐれに付き合って、である。

彼女が携えるのはゴールドカード。

これでもかというほどの美食と美酒に酔ったはいいが。

本当に酔っ払ったのは私だけ。

涼子はすらりとした足をきびきび動かしながら、私の前を歩いていた。

 

 

「さて、これで一通りの豪遊はしたでしょ、泉田クン?私の下についててよかったわね!」

「……」

ダメだ、返事も出来やしない。

「泉田、クン?」

驚いたように立ち止まる涼子。

振り向いた姿がこれまたモデルのよう――……しかし。

「すいま……せ」

 

私の意識はぷつん、と途切れてしまっていた。

 

 

 

目が覚めたとき、どこにいるか分からなかった。

こんな経験をしたことは前にも1度あった。

確か、涼子のパリのアパルトマンで……と思っていると

 

「あら、お目覚め?泉田クン」

 

張本人の顔が目の前に出現した。

「っ!?」

「全く、酔っ払って倒れるだなんて情けない!しゃきっとしろッ!」

涼子は私を叱咤し、ふん、と鼻梁をそびやかした。

「……すいません」

喋ろうとすると頭が痛い。

本当に酔ってしまったらしい……。

起きあがろうとするとやんわり、涼子の手に止められる。

「お水持ってきてあげる。寝てなさい」

口調がひどく優しい。

明日は大雨じゃないか、なんて考えて私は天井を見上げた。

どうやらここは涼子のいわゆる『超豪華』アパートらしい。

シーツの柔らかさに、いやにむず痒さを覚える。

 

……おまけに。どうやら私は小市民な性格のようだ。

 

くだらないことを考えていると涼子が戻って来た。

「ほら、飲みなさいよ」

美しい鳶の髪が肩を滑る。

涼子の白い肩に――と、私はようやく気がついた。

涼子の姿に。

少女のような白いワンピース、とでも言うのだろうか。

彼女はそれだけを身に纏っていた。

「……なに、泉田クン」

にや、と笑うと彼女は子供がするように思いきり私にのしかかって来た。

「……欲情した?」

「警視っ!!」

言うが早いが、涼子の白い指が私のネクタイにかかる。

白い指がそれを引き抜き、床へと放り投げた。

「何かこういう映画、無かったっけ?」

笑いながら、涼子の指が私の胸に滑る。

「酒を飲んで正体を無くした美青年を襲う熟女のハナシ」

「け、いし?」

「まぁ、泉田クンは美青年って言わないわよねぇ……」

くすくすと笑いながら、涼子の唇がそっと私のそれに触れた。

「ん……」

思いがけない柔らかさに、かっと体が熱くなる。

頭がぼうっとして、涼子の姿が視界の靄の向こうで薄くなる。

くすくすとした笑い声が思考をくすぐる。

「でも、はべらすには充分よ」

ひやりとした唇の感触に、私はどきりとした。

このままだと本当に――

「泉田クンはあたしのこと、キライ?」

「警視……」

潤んだ瞳がじっと私を見つめる。

のしかかられた姿勢はどうしようもないが、その視線は男が一撃で悩殺するようなものだった。

私はゆっくりと、涼子の腕に触れた。

絹のような素肌とでもいうのだろうか。

とても触れていて心地よい。

「泉田クン?」

「……キライなら、ここまで付き合いませんよ」

私はなんとか身を起こし、のしかかったままの涼子にそっと口付けた。

その瞳を覗きこんだまま。

「目を……閉じなさいよ……」

 

深く角度を変えてもう1度キス。

いつもは出さないような甘える声に私は彼女を少しばかり苛めたくなった。

……いつものお返しぐらい、してもいいだろう。

 

「お断り、します」

「なん……んっ」

抗議の声を塞いで、首筋に赤く痕を残す。

わずかに、涼子の頤が反れた。

「私を襲おうとした、罰ですよ」

「生意気よっ、泉田クンのクセに……っ」

ぎゅっと、ずれた私のシャツをつかんで、涼子は胸に抱きついた。

華奢な肩。

いつもは何事も先陣を切って歩いていたためか。

私はその細さに気づきもしなかった。

「……私はいつもあなたの後ろにいますから。好きなだけ、走ってください。薬師寺警視」

「言わなくても、あたしはあたしのやりたいようにやるのよッ!!」

頬を赤らめながら言う彼女は。

――――本当に可愛らしい人。

私は涼子をそっとシーツに横たえた。

 

 

 

「いい天気ですよ、薬師寺警視?今日も仕事です。起きてください」

言いながら、私は今だベッドで寝ている涼子に声をかけた。

二日酔いがまだ残っているが、起きられないほどではない。

シャツを着て、ネクタイを締めて、朝食の用意をしようにも何もない。

どうしようもなく腹も減っているのに、我が女王はいまだ、眠りの世界にいた。

キッチンで茫然と立つ私に浴びせられた言葉は

 

「――うるさい……」

 

呟く涼子。

シーツがしどけなく肩に滑る。

この体に昨日触れていたと思うと、私は何ということをしてしまったのかと思ってしまう。

首筋に残る赤い痕が、昨日のことを夢でないと思い知らせる。

「薬師寺警視!」

「ああ、もう、泉田クン……こっちに来なさいッ」

シーツの中から白い腕が私を呼ぶ。

「……はいはい」

近づくと、涼子の腕が私をあっという間に絡めとり――唇が触れた。

「け、けい……っ」

「つまんないの。泉田クンの寝顔、見てやろうと思ったのに」

にやり、と笑って涼子は跳ね起きる。

「さてと、着替える間、朝食の支度、お願いね?」

「……ありませんよ」

溜め息をついて、私はベッドサイドに腰を下ろした。

「何ですって?」

私を覗き込むようにして口を尖らせる涼子。

「ありませんって。トーストも、コーヒーも」

「……ふんっ」

鼻梁をそびやかし、涼子はまたもシーツに包まって転がってしまった。

「だったら、用意してよ」

どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。

声が完全に拗ねている。

「コンビニでよろしいんですか?」

「……いや」

背を向けたまま、涼子は言った。

どうしろというのだ。

「……どうしてもっていうなら」

「?」

「今日は有給にして私に付き合いなさい」

 

――またですか。

 

思わずそんな言葉を飲みこむ。

「そうしたら朝食もおごってあげましょう?あたしは優しい上司ですからね」

私は彼女の背中に触れ、無理矢理こちらを向かせた。

「分かりましたよ。どうせ、逆らえないのでしょう?」

「当たり前よ!さあ、用意しなくちゃね」

言って、涼子は今度こそ飛び跳ね、笑顔を浮かべながら隣室へと消えた。

 

 

 

その背中を見ると私はなんて人を相棒にしてしまったのだろうかと思う。

でもまあ……それもいいだろう。

少なくとも退屈はここにはない。

私の可愛い人は、天下無敵のドラよけお涼なのだから。

 

 


 

別に裏裏におかなくてもいいようなぬるうぃ内容ですが一応規則は規則(謎)

つーか本当に暴走しそうな勢いでしたので歯止めかけました。

えろいの書いてもよかったんだけど……オンラインで会う人いるから……(汗)

ちなみに前からですがお涼シリーズの題名は映画のパロディ。

題名を探して見てもおもしろ……くないか……(爆)

 

 

 

 

 

 


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