上のタイトル、「何様?そんな人いるの?」と、普通の感覚を持った人なら誰もが思うでしょう。
デザイン・ブログ村で見つけた某サイト。個人サイトではなさそうなので「個人批判」にはならないと判断し、取り上げさせていただきます。一応サイト名は伏せて、「こんなデザイナーの妙な提案が多い」という一つの実例として挙げてみたいと思います。
そのサイトのキャッチフレーズは「あなたの生活に新たな視点と潤いを提供するプレミアムライフスタイルマガジン」。ブログ形式で情報を提供するサイトという名目です。「サイトについて」の欄に書かれていることは↓
>情報化社会への急速な移行は多くの生活者にこれまでにはない膨大な情報
>を提供した。しかしながら、情報を適切に選択出来る層と出来ない層の二
>分化も同時に生み出してしまった。情報難民といっても過言ではない。情
>報の適切な選択がそのまま“生活の豊かさ”のレベルへと直結してしまう。
>もはや、現代社会において適切な情報の選択は、生き抜く為には欠かせな
>いファクターとなった。そこで膨大な情報の中から精査した生活を豊かに
>し、マスコミの情報操作から離れたピュア情報を一元的に収集・発信でき
>るような場が必要と我々は考える。(中略)多種多様な情報を人々と共有
>できるよう、より素早く、より詳しく、より楽しく、そして従来にない新
>たな視点を加えて情報を発信する事を目的としたサイトである。
やたら長く難しく述べていますが、要約すると「人々の生活の豊かさの為に、マスコミの偏った情報だらけ社会の中、適切な情報だけをセレクトして純粋にお届けするサイト」という事でしょう。
それで、こんな商品が紹介されていました。
『まるでキャンプファイヤー気分を味わえるおしゃれなティーポッド』

>夏が過ぎ、秋そして冬を向かえると温かい飲み物が飲みたくなるものです。
>でも、例えば紅茶をティーポッドに入れて少しずつ飲んでいるとだんだん
>と冷めてしまうので、ティーポッドを温めておいてくれるものがあればと
>思うことがよくあります。
>そんな時、これを使ってみたらいかがでしょうか。
>Christoph MatthiasというデザイナーによるTeapot Warmerです。
>これは木をまるでキャンプファイヤーのように組んであるティーポッドの
>温め装置です。詳細な仕組みはよくわからないのですが、木の中に何か
>ティーポッドを温めることができるようなものが入っているのだと思いま
>す。冬の寒い季節にこれがテーブルの上にあって、のんびりお茶すること
>ができたらかなり雰囲気がいいものになるでしょうね。
>ちなみに、木はカエデとクルミの2種類があるそうです。
お薦めするからには実際に自分が使ってみて良かったからというのが常識ですが、なぜか世のクリエイターたちは「自分が使ってもいないもの(実物を見た事さえないもの)」を平気で、しかも上から目線で薦めますね・・・どうして皆そうなのでしょうか。広告の仕事などでは、とりあえず消費者が買いたくなるようなコピーを書いたりして、お薦めするのが仕事だったりするし、実物の商品を見た事も無いのに広告を作ったりするのは日常茶飯事なのかもしれません。そんな体質が染み付いて、「実物を見た事も無いものを人様に薦める」という事に何の疑問も感じなくなっているのでしょうか。
「詳細な仕組みはよくわからないのですが、木の中に何かティーポッドを温めることができるようなものが入っているのだと思います。」って・・・きっとこれを書いている人の日常にはティー・ウォーマーが存在しないのでしょう。ある程度上のクラスのホテルの朝食や、ビュッフェスタイルのパーティなどでは、このようなティー・ウォーマーは普通に見かけますし、中にティー・キャンドルが入るものだという事は常識ですよね。それに、どうして「詳細な仕組みはよくわからない」のに紹介しているのでしょうか。調べようと思えば調べられることです。ちなみに、僕は1分もかからずにこちらの情報を見つけましたよ。やはり市販のティー・キャンドルを入れるようになっています。
しかも「ティーポッド」って?「脚」の「Pod」のことかと一瞬思いましたが、「ティーポッドを温める」と繰り返し書かれているので、恐らく「ティーポットを温める」の間違いでしょう。
「冬の寒い季節に」と書いてありますが、ティー・ウォーマーやコーヒー・ウォーマーは寒い季節だけ使うものではなく、一年を通して使うものですよね。
こういうものを使ったことが無い人(生活の中に無い人)が、単なる想像だけであれだけのコピーを書き上げている・・・一体誰に薦めているんでしょうか。自分以下の知識&経験値の人達でしょうか。実際にお金を払って買って、すでに生活の中に取り入れている(アンテナと感性と行動力を持った)人が見たら、一体どう思うでしょうか。買いもしない奴に、買った生活を「提案」されるなんて。旅行してない人に旅行を提案などされたくないし、美味しいものを食べてない人に美食を提案される筋合いもありません。そもそも説得力があるはずがありません。それでも「伝える側」なんていう肩書きに居座るか。

デザイン・ブログ村のトラックバック欄に、この記事のエントリーと並んで「本を読まない小説家はいない」というエントリーがあり、とても対照的で印象に残りました。
「少なくとも<読書>をしない人が書いた小説ではメシは食えないと思う。」
まさに!生活の中の潤いを自ら大切にしない(求めて体験しない)人が、人に提案などできません。当然ですよね。単に「提案するのが好き」とか「提案するためにデザインするのが好き」なんていうのは、受取り手を馬鹿にしてます。失礼な事だとさえ思っていない事が一番問題でしょう。そして、こういう現状を、誰も問題視しないのも、現場の人々の体質でしょう。酷すぎます。
「膨大な情報の中から精査した生活を豊かにし、マスコミの情報操作から離れたピュア情報を一元的に収集・発信できるような場が必要と我々は考える」って?・・・デザイナーのブログって、そういう理屈ばかりですよ。まずは自分の生活を豊かにしてみたら?豊かな生活を送れていない「情報難民」は一体誰なのか。
関連記事:『自分の暮らしに興味がないんだから、人の暮らしの提案なんか、そりゃできないよなという話』
追記です・・・・・

同じサイトで今度はこちらの商品が紹介されていました:
商品の詳細はこちら(英語)。
この商品の良いところは、スウェーデンで採掘された「無公害」の古代岩である事で、つまり水道水で作った氷が溶けて飲み物に混ざるというような事がないという点が売りであるわけです。
しかし紹介文は以下のようなものでした:
>『北極の石があなたの飲み物を冷やします!』
>秋の夜長にウィスキーをロックで飲むというのもなかなか
>おつなものです。でも、そんな時普通のロックアイスを
>入れるよりももっと変わったものを入れてみてはいかがで
>しょうか。
>スェーデンの海からとれた北極の石です。
>名づけてNordic Rock。
>この石は氷ではないのでそのままで液体を冷やすことは
>できませんが、あらかじめこの氷を冷蔵庫に入れて冷やして
>からウェイスキーやジュースに入れれば飲み物を十分冷やす
>ことができるのです。
>石だから溶けないので、もちろん何度でも使うことができますよ。
>普通の氷を入れるだけよりもなんとなくおしゃれだとは思いま
>せんか?
思いません(笑)そもそも売りポイントが違う。
そして、この方はウィスキーをロックで飲まない人だと思います・・・ロックでウィスキーを飲むのに、この石を入れたらストレートです!氷が程よく溶けてこそ美味しいロックなのに!!
あと「北極の石」と書いてありますが、採掘はスウェーデンで、「Nordic」は「北欧」のことですよね?(色々調べてみましたが「海から採れた」とはどこにも書いてなかったんですが・・・。)
ポイントもズレているし、実際に使った事も無いものを、お節介な状況設定までして「おすすめ」する理由が解りません!
関連記事:お馬鹿の二乗
デザイン・ブログ村で見つけた某サイト。個人サイトではなさそうなので「個人批判」にはならないと判断し、取り上げさせていただきます。一応サイト名は伏せて、「こんなデザイナーの妙な提案が多い」という一つの実例として挙げてみたいと思います。
そのサイトのキャッチフレーズは「あなたの生活に新たな視点と潤いを提供するプレミアムライフスタイルマガジン」。ブログ形式で情報を提供するサイトという名目です。「サイトについて」の欄に書かれていることは↓
>情報化社会への急速な移行は多くの生活者にこれまでにはない膨大な情報
>を提供した。しかしながら、情報を適切に選択出来る層と出来ない層の二
>分化も同時に生み出してしまった。情報難民といっても過言ではない。情
>報の適切な選択がそのまま“生活の豊かさ”のレベルへと直結してしまう。
>もはや、現代社会において適切な情報の選択は、生き抜く為には欠かせな
>いファクターとなった。そこで膨大な情報の中から精査した生活を豊かに
>し、マスコミの情報操作から離れたピュア情報を一元的に収集・発信でき
>るような場が必要と我々は考える。(中略)多種多様な情報を人々と共有
>できるよう、より素早く、より詳しく、より楽しく、そして従来にない新
>たな視点を加えて情報を発信する事を目的としたサイトである。
やたら長く難しく述べていますが、要約すると「人々の生活の豊かさの為に、マスコミの偏った情報だらけ社会の中、適切な情報だけをセレクトして純粋にお届けするサイト」という事でしょう。
それで、こんな商品が紹介されていました。
『まるでキャンプファイヤー気分を味わえるおしゃれなティーポッド』
>夏が過ぎ、秋そして冬を向かえると温かい飲み物が飲みたくなるものです。
>でも、例えば紅茶をティーポッドに入れて少しずつ飲んでいるとだんだん
>と冷めてしまうので、ティーポッドを温めておいてくれるものがあればと
>思うことがよくあります。
>そんな時、これを使ってみたらいかがでしょうか。
>Christoph MatthiasというデザイナーによるTeapot Warmerです。
>これは木をまるでキャンプファイヤーのように組んであるティーポッドの
>温め装置です。詳細な仕組みはよくわからないのですが、木の中に何か
>ティーポッドを温めることができるようなものが入っているのだと思いま
>す。冬の寒い季節にこれがテーブルの上にあって、のんびりお茶すること
>ができたらかなり雰囲気がいいものになるでしょうね。
>ちなみに、木はカエデとクルミの2種類があるそうです。
お薦めするからには実際に自分が使ってみて良かったからというのが常識ですが、なぜか世のクリエイターたちは「自分が使ってもいないもの(実物を見た事さえないもの)」を平気で、しかも上から目線で薦めますね・・・どうして皆そうなのでしょうか。広告の仕事などでは、とりあえず消費者が買いたくなるようなコピーを書いたりして、お薦めするのが仕事だったりするし、実物の商品を見た事も無いのに広告を作ったりするのは日常茶飯事なのかもしれません。そんな体質が染み付いて、「実物を見た事も無いものを人様に薦める」という事に何の疑問も感じなくなっているのでしょうか。
「詳細な仕組みはよくわからないのですが、木の中に何かティーポッドを温めることができるようなものが入っているのだと思います。」って・・・きっとこれを書いている人の日常にはティー・ウォーマーが存在しないのでしょう。ある程度上のクラスのホテルの朝食や、ビュッフェスタイルのパーティなどでは、このようなティー・ウォーマーは普通に見かけますし、中にティー・キャンドルが入るものだという事は常識ですよね。それに、どうして「詳細な仕組みはよくわからない」のに紹介しているのでしょうか。調べようと思えば調べられることです。ちなみに、僕は1分もかからずにこちらの情報を見つけましたよ。やはり市販のティー・キャンドルを入れるようになっています。
しかも「ティーポッド」って?「脚」の「Pod」のことかと一瞬思いましたが、「ティーポッドを温める」と繰り返し書かれているので、恐らく「ティーポットを温める」の間違いでしょう。
「冬の寒い季節に」と書いてありますが、ティー・ウォーマーやコーヒー・ウォーマーは寒い季節だけ使うものではなく、一年を通して使うものですよね。
こういうものを使ったことが無い人(生活の中に無い人)が、単なる想像だけであれだけのコピーを書き上げている・・・一体誰に薦めているんでしょうか。自分以下の知識&経験値の人達でしょうか。実際にお金を払って買って、すでに生活の中に取り入れている(アンテナと感性と行動力を持った)人が見たら、一体どう思うでしょうか。買いもしない奴に、買った生活を「提案」されるなんて。旅行してない人に旅行を提案などされたくないし、美味しいものを食べてない人に美食を提案される筋合いもありません。そもそも説得力があるはずがありません。それでも「伝える側」なんていう肩書きに居座るか。
デザイン・ブログ村のトラックバック欄に、この記事のエントリーと並んで「本を読まない小説家はいない」というエントリーがあり、とても対照的で印象に残りました。
「少なくとも<読書>をしない人が書いた小説ではメシは食えないと思う。」
まさに!生活の中の潤いを自ら大切にしない(求めて体験しない)人が、人に提案などできません。当然ですよね。単に「提案するのが好き」とか「提案するためにデザインするのが好き」なんていうのは、受取り手を馬鹿にしてます。失礼な事だとさえ思っていない事が一番問題でしょう。そして、こういう現状を、誰も問題視しないのも、現場の人々の体質でしょう。酷すぎます。
「膨大な情報の中から精査した生活を豊かにし、マスコミの情報操作から離れたピュア情報を一元的に収集・発信できるような場が必要と我々は考える」って?・・・デザイナーのブログって、そういう理屈ばかりですよ。まずは自分の生活を豊かにしてみたら?豊かな生活を送れていない「情報難民」は一体誰なのか。
関連記事:『自分の暮らしに興味がないんだから、人の暮らしの提案なんか、そりゃできないよなという話』
追記です・・・・・
同じサイトで今度はこちらの商品が紹介されていました:
商品の詳細はこちら(英語)。
この商品の良いところは、スウェーデンで採掘された「無公害」の古代岩である事で、つまり水道水で作った氷が溶けて飲み物に混ざるというような事がないという点が売りであるわけです。
しかし紹介文は以下のようなものでした:
>『北極の石があなたの飲み物を冷やします!』
>秋の夜長にウィスキーをロックで飲むというのもなかなか
>おつなものです。でも、そんな時普通のロックアイスを
>入れるよりももっと変わったものを入れてみてはいかがで
>しょうか。
>スェーデンの海からとれた北極の石です。
>名づけてNordic Rock。
>この石は氷ではないのでそのままで液体を冷やすことは
>できませんが、あらかじめこの氷を冷蔵庫に入れて冷やして
>からウェイスキーやジュースに入れれば飲み物を十分冷やす
>ことができるのです。
>石だから溶けないので、もちろん何度でも使うことができますよ。
>普通の氷を入れるだけよりもなんとなくおしゃれだとは思いま
>せんか?
思いません(笑)そもそも売りポイントが違う。
そして、この方はウィスキーをロックで飲まない人だと思います・・・ロックでウィスキーを飲むのに、この石を入れたらストレートです!氷が程よく溶けてこそ美味しいロックなのに!!
あと「北極の石」と書いてありますが、採掘はスウェーデンで、「Nordic」は「北欧」のことですよね?(色々調べてみましたが「海から採れた」とはどこにも書いてなかったんですが・・・。)
ポイントもズレているし、実際に使った事も無いものを、お節介な状況設定までして「おすすめ」する理由が解りません!
関連記事:お馬鹿の二乗