「ペットの調子が悪いから来て!」--。救急車の利用方法が問題になる中、名古屋市が05~07年の出動実態を調べたところ約1割が不必要な119番だったことが分かった。1人で年70回以上も救急車を呼んだ男性もおり、同市は常軌を逸した通報者には消防職員が戸別訪問して注意することを検討している。【岡崎大輔】
同市消防局救急対策室によると、07年まで3年間の救急車出動回数は年10万1560~10万610件。このうち、1割程度の1万3030~1万858件が救急車を呼ぶ必要がない症状だったり、業務に支障をきたす迷惑119番による出動で、07年が最多だった。
「子供の調子が悪い」。女性からの要請で出動すると、女性のいう子供は「ペット」だった。「今日は検査日だから病院に連れてって」「別の病院に行くから運んで」など、駆け付けると緊急性のない例も少なくなく、07年は搬送回数73回に及ぶ男性もいた。「救急車は人生で数回乗るか乗らないもの。普通でない」。救急対策室の上村潤也主任の実感だ。
「水虫がかゆい」や「寒いから灯油を買ってきて」という通報で、必要な患者への救急車到着が遅れる被害が出た横浜市は10月、虚偽通報への刑法適用などを盛り込んだ救急条例を施行した。名古屋市も問題事例に職員が家庭訪問し「救急車は限られた台数しかない。救える命が救えなくなることもある」と厳しく指導する態勢づくりを進める。
2008年10月17日