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【コラム】「恐喝」もやり方次第(上)

 米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解くことにした。この出来事から分かるのは、恐喝や脅迫もうまくやれば大きな効果を生む、ということだ。イラクのサダム・フセイン元大統領は、これをきっちりやることができずに滅んでしまったが、金正日(キム・ジョンイル)総書記は、これをこなしてうまく息を吹き返した。フセイン元大統領は、米国のアキレスけんを活用しないまま暴挙に出てしまった。しかし金総書記は、ブッシュ大統領と米国政治の弱点を巧妙に突いて食い下がり、がけっぷちで核の脅しを成功させた。

 金総書記は韓国側に対してもこうした恐喝・脅迫戦術を用い、かなりの成果を挙げている。北朝鮮側は最近、韓国の脱北者団体が今後もビラを風船に下げて飛ばし続けるなら開城工業団地をただではおかない、と一喝した。そこで統一部はビラ散布を引き止め、開城工業団地に進出した企業も「どうかそんなことはしないでください」と訴えた。

 統一部の官僚としては、北朝鮮側を怒らせてしまえば自分たちの仕事がなくなるということを考えないわけにはいかず、開城工業団地に入っている企業も、「風船」のせいで事業がだめになるのでは、と戦々恐々としている。北朝鮮は韓国内部のそんな弱点を見透かしている。「米国の××、南朝鮮(韓国)の××どもを引っ張り込んで弱点を突いてやれ、そうすればいい…」

 韓国社会や西側諸国では一時、「太陽」と「札束」で北朝鮮の弱点を突くことができる、という話が「最も啓蒙(けいもう)された」処方であるかのように流行していた。しかしその結果、弱点を握られたのは米国のブッシュ大統領チームや韓国の政治家・官僚・企業の側であって、金総書記ではなかったようだ。「それでどうしろと? 弱点を握られても、金総書記の機嫌を取って彼を怒らせないようにするほかに、どんな手があると? 戦争でもしようというのか」という反論する声がある。誰が何を言っているのか。ただ、国が昼夜を問わずこのように引っ張り回されるありさまになったということを指摘するだけで…。

柳根一(リュ・グンイル)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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