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【コラム】「恐喝」もやり方次第(下)

 ならば、これからどうなるのか。これについては、ソウル平和賞を受賞した米国の北朝鮮人権運動家スーザン・ショルティー氏が、受賞演説で次のように語っている。「金正日総書記は核兵器を決して放棄しないだろう。彼にとって、権力を維持するために残されたものは核兵器しかないからだ。彼は権力を強化するために自由人の善意をうまく操ってきた」

 ブッシュ大統領チーム、韓国で対北朝鮮業務を担当する官僚、大口をたたく政治家、対北朝鮮事業を行う事業家などは、ショルティー女史の演説が的中しないことを切に願っている。いや、彼女の言葉が100%外れ、金総書記が本当に核を放棄する方向に向かうことになってくれれば、その方がはるかに良いというのは事実だ。しかし、金総書記が果たしてそうしてくれるだろうか。

 ブッシュ大統領チームは、どう転んでも自分の在任中に金総書記が2度目の核実験をすることがないようにし、「もう知らない」と離れてしまえばそれでおしまいだ。韓国で対北朝鮮関連業務に従事する公務員たちも、後々どうなろうが在任中に安全運転さえできれば、それが最高の身の処し方になる。政治家にしても、ショルティー氏のように主張していては、たちまち不利なレッテルを張られることになるため、必ずその反対のことを言わなければならない。そして企業としては、辛抱たまらずすぐにでもショルティー氏の元を訪れ、北朝鮮向けのビラ散布を思いとどまらせたいだろう。

 しかし、ショルティー氏やビラをまいている脱北者のパク・サンハク氏の言葉にも耳を傾けてみるべきだ。ショルティー氏とパク氏はこう話す。「われわれは、財政面だけでなく、金総書記の暴政に対し沈黙することによっても、金総書記を助けている」「核実験や金剛山観光客射殺事件など、北朝鮮の誤りで南北関係がこじれているのに、なぜビラに罪をかぶせるのか」。官僚・政治家・企業には、各自の役目がある。同様にショルティー氏やパク・サンハク氏にも、そうするだけの切実な理由があることを、尊重しなければならない。

柳根一(リュ・グンイル)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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