予防矯正歯科治療と抑制矯正歯科治療

一般の歯科診療所では,乳歯列期や混合歯列期前期の子どもに対して,予防矯正や抑制矯正を,その効果を期待して治療を行うことは避けるべきと考えています。

予防矯正歯科治療と抑制矯正歯科治療

 予防矯正歯科治療と抑制矯正歯科治療は,子どもに対する矯正歯科治療と考えられることがよくあります。

 現状は,予防矯正や抑制矯正という矯正歯科治療があるとしても,永久歯列期に矯正歯科治療を行わなければならないのであれば,これらの2つはほとんど意義をもっていないことになるでしょう。

 ところで,予防矯正や抑制矯正が重要だとする歯科医もいますが,その意見を注意深く読んでみれば,この2つの言葉を意味論的に使用しているに過ぎないことに気がつくと思います。つまり,この2つを,通常の矯正歯科治療と明確に区別することができないはずです。

 もし早期に行う矯正歯科治療が,予防矯正や抑制矯正と言ってるに過ぎないかもしれません。そして,予防矯正や抑制矯正を受けたならば,その後の矯正歯科治療が不要となるのだ,という誤った期待を患者さん(およびその両親)に抱かせているでしょう。

 不正咬合を予防できる場合もありますが,これはきわめて限られた,特殊な状況でのみ可能です。ほとんどない,と考えておいた方がいいと思います。

 また,抑制的な矯正歯科治療が,不正咬合の程度を緩和することは可能かもしれませんが,その後の矯正歯科治療がまったく不要になるという保証はありません。

 このような背景があるにもかかわらず,乳歯列期や混合歯列期にある患者さんに対して,予防矯正や抑制矯正が施されている事実は,驚くしかありません。

 しかしながら,乳歯列期や混合歯列期の子どもに対して矯正歯科治療を行うということは,その時期に彼ら彼女らに矯正歯科治療が必要であるかどうかは別として,学術的学問的にはひじょうに興味ある結果を引き出すことができます。このため,大学附属病院などの研究を目的のひとつとする診療機関においては,しばしばこのような年齢にある患者さんに対して矯正歯科治療が行われることがあります。

 しかしながら,一般の歯科診療所では,乳歯列期や混合歯列期前期の子どもに対して,予防矯正や抑制矯正を,その効果を期待して治療を行うことは避けるべきと考えています。


 

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