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「明らかに人為的」中国製毒インゲン“無差別テロ”

小分け作業以降に殺虫剤混入か

 中国製冷凍インゲンから有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された問題は、何者かが殺虫剤を意図的に混入させた「食品テロ」の可能性が高まっている。検出されたのは国の基準の3万4500倍という高濃度。商品の袋には人為的に殺虫剤を混入したような穴もなく、警視庁は捜査に着手した。今年1月に発覚した毒ギョーザ事件の解明も進まない中、中国製食品への不安・不信が再び日本を覆い始めた。

 「基準の3万倍超ものジクロルボスが検出されており、明らかに人為的。食品テロだ」。厚労省関係者は、夕刊フジの取材にこう断言した。まさに背筋が寒くなる問題だ。

中国産冷凍インゲン(クリックで拡大)

 急性毒性が強いジクロルボスは、中国や日本で農薬やゴキブリ駆除の殺虫剤として利用されている。東京都八王子市のケースでは国の基準の3万4500倍にあたる6900PPMものジクロルボスが検出された。都内や福島県で健康被害を訴える声が出ているという。

 警視庁では流通ルートを調べるとともに、問題の冷凍インゲンが販売された八王子のスーパーで回収した57袋の鑑定や防犯ビデオの分析もして混入経路や時期の特定を急いでいる。

 スーパーなどでは、製造元の中国「烟台北海食品」製品撤去に動き出した。「コープネット事業連合」では約150店舗で冷凍和風野菜を扱っていたが、15日に撤去した。「西友」も冷凍野菜4品目を、「ヤオコー」も3商品を、「東急ストア」も2商品を回収。中国製冷凍食品ショックは毒ギョーザ事件に増して急速に拡大している。

 輸入元のニチレイフーズによると、インゲンの製造元は山東省の烟台北海食品だが、生産工程の大半は中国・黒竜江省にある「北緑食品」で行われていた。

 北緑食品の広大な農場で栽培されたインゲンは残留農薬検査を受けた後、送風機で異物を除去。さらに水で洗浄してからボイルして冷凍される。ここで約1年間保管された後、大きめの箱に詰めて烟台北海食品に運ばれ、小分けして包装する最終工程が行われた。

 厚労省関係者は「小分け作業前に混入されれば、洗い流されるか、全体に広がって薄まる」と指摘する。原液に近いジクロルボスが検出されたことから、小分け作業以後に混入された疑いが強まっている。別の関係者も「スポイトで垂らすだけで、この濃度の殺虫剤混入は可能」と語る。

 ただ、烟台北海食品の管理体制は厳重だ。工場内に監視カメラ10台を設置しているうえ、毒ギョーザ事件以降は日本人職員も派遣。サンプル検査は日中合わせ6回にも及ぶ。このような監視下で、見つかれば厳罰のリスクを負ってまで劇物を持ち込み、混入させることには疑問も残る。

 千葉県柏市の男女2人が被害を訴えた件では16日、柏市がジクロルボスなど有機リン系農薬56項目が検出されなかったと発表した。現時点でジクロルボスが検出されたのは八王子市の1袋だけで、全国で汚染が確認された毒ギョーザ事件とは状況が違う。厚労省幹部は「日本で混入した可能性も捨て切れない」と語る。

 中国政府は16日までに、外交ルートを通じて、(1)栽培時や工場の製造ラインでジクロルボスは使用されていない(2)輸出の際の農薬検査でも合格だった(3)政府関係者が製造企業を査察し、警察当局も捜査を始めた−と、日本政府に伝えた。

 麻生太郎首相も15日、「検疫、検査体制は向こう(中国側)がやるのは当然としても、こっち(日本側)もやらないと安心が持てない」として、農水、厚労両省に対し、検疫体制を強化するよう指示した。

 厚労省は「食品テロ」の可能性を視野に入れ、インゲン以外にも、烟台北海食品がこの1年間に、日本国内の19社に輸出したサトイモやブロッコリー、ミックス野菜など計7830トンについて、各自治体に流通状況と健康被害を調査するよう指示した。

 今年1月に毒ギョーザ事件が発覚した際には、中国当局が当初、北京五輪への悪影響を意識したのか、「日本で毒物が混入した可能性が大きい」と公言し、日本国民を激怒させた。

 今回、中国政府関係者は「良好な日中関係に影が差すことを恐れている」と語っている。毒ギョーザ事件も含めて根本的解決がされない限り、日本国民の不安が解消されることはない。

ZAKZAK 2008/10/16

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