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「患者学」は医療不信の危機を救えるか(下)

 「患者学とは何か」という問いに正面から取り組んだ公開シンポジウム「患者と医療者が一緒に考える患者学−患者学はじめの一歩」。医療者と患者側を交えた意見交換では、それぞれの不安が述べられたものの、その主張には隔たりが見られる。「患者学」は、医師と患者の思いの橋渡しとして一石を投じるものとなるのだろうか。会場からも多くの意見がぶつけられた。

【今回のシンポ】
「患者会」との公開シンポを初開催−血液学会
「患者学」は医療不信の危機を救えるか(上)

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■インフォームド・コンセントに理解示す医師「5%」
会場:
神戸市内の中規模の急性期病院でボランティアをしている一般参加者だ。患者と医療者の共同という観点でインフォームド・コンセントについて考えると、中立的な立場の人がかかわらないと難しいと思う。その場所だが、大学病院は病院と大学の研究機関が連携しているためやりやすい。しかし、一般の病院は難しい。理解を示す医師は5%で、95%の医師が共感に至っていない。その中でどうやって場を作るかを考えている。ここで、「患者学」がどうかかわれるのか、それがよくつかめない。
西根英一・マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン・ヘッド・オブ・パブリックヘルス兼シニアエディター:米国では「ヘルス・コミュニケーション」という言葉が生まれている。国内でも大阪大、九州大、京大などの医学部や、国立がんセンターなどでこれを学んでいこうという動きが出ている。ヘルス・コミュニケーションを学問として体系立てて考えていくことで整理していきたい。
田中祐次・東大医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任助教:理解を示す医師の「5%」とは何なのか。インフォームド・コンセントにかかわる言葉の問題なのか、なぜ「5%」なのかを調べていくことも必要。

■主治医と、間に入る医師との関係性は
会場:血液内科の医師をしている。田中先生は、現場での一つひとつのかかわりを大事にし、小さな人間関係をいくつもつくりながら各地を回っていて、感銘を受ける。わたしの病院に来てもらってインフォームド・コンセントを助けてほしいとも思うが、わたしの考えとは違うことを言ってもらうと、その情報ギャップをどう埋めていくかという不安もある。田中先生は患者会で人間関係をつくられているが、患者さんには主治医がいる。その辺りのコミュニケーションをどう考えるか。
田中:多くの患者会は、主治医のファンクラブ。例えば、ある患者会に自分が参加していても、主治医の先生が来たら、患者さんたちは皆「先生、ここ、ここ」と、自分の隣の席を空ける。患者さんたちが医師に感謝し、頼りにしているというこのような声が、表に出てきていない。そういうギャップを修正したい。医師が普通に話した言葉で、わたしが見ても血液内科医としては普通であっても、患者さんの受け止め方が違っていることがある。そういう場合に、主治医とその方との関係がよくなるようにしていきたい。

会場:小児科医だが、小児医療の中での患者学の論点は?
田中:「患者学」はまだ学問領域ではない。緩和ケアの方から出てきた言葉ではあるが、患者中心のケアというところで始めていけば何か出てくるのではないか。逆に、小児医療の中ではどういうことが対象になってくるだろうか。
埴岡健一・東大医療政策人材養成講座特任准教授:患者の自律という視点が入ってくるのでは。患者が大人の場合、医療者と患者という関係になるが、子どもの場合は、親もその関係性に入ってくる。

■「自分なりの答え」の手助けに
会場:
血液内科の医師だ。「患者学」がどういうものかはまだ分からない。医学を修めた人間が優秀な医者になるとして、同様に患者学を修めた患者が立派な患者になる、と考えるのか。「立派」とはどういうことか。患者になって試行錯誤がいっぱいあり、自分なりの答えを出す。その道筋に論理を立てて、正しい答えに早くたどりつかせてあげるのが学問だと思う。「患者学」は医療そのものの問題を含め、一つに収まり切らないだろう。そうした雑多なものが一つに集まって、「立派な患者」や「幸せな患者」にたどりつく一つの助けになるといい。
 個人的な希望としては、こういった分野が存在感を示してアピールし、医師の側からも発信していくことが重要ではないか。10年前にはセカンドオピニオンという言葉はなかったが、今では患者の方から言われるほどになった。普通に使われるようになることが大事で、病院はそのためのソリューションを提供しなければならない、という環境になってほしい。


「患者学」は医療不信の危機を救えるか(上)


更新:2008/10/16 13:36   キャリアブレイン


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