【第49回】 2008年10月16日
『文藝春秋』手記で窮地に追い込まれた麻生首相の危機管理の甘さ
――国民の信を問うということは、すぐ解散をするということではなかったのでしょうか?
「国民の信を問うということは解散ということですけど、それ、すぐいつ解散をやるなんてことは一切書いてないと思いますよ」
――まず、国民の審判を仰ぐのが最初の使命という記述があると思いますが、これは早期の解散を指しているものではないのですか?
「えー、その後、よく読んでいただくと、きちんと今申し上げたことは書いてあると思いますが」
――ただですね、国会の冒頭、国民に信を問おうと思うと……(発言を遮って)
「その後、きちんと小沢さんと所信やらなにやらを意見を聞かせて、堂々と意見の相違をきちんとさせたうえでと書いてあると思いますが」
――小沢さんが意見をきちんとしなかったので、今回解散に……
「対立軸が出てきませんもんね。予算も何となく、ちょっとよく分かりませんけれども、今のところ、対立軸っていうのが、少なくともきちんと見えてきていないんじゃないんでしょうかね。そんな具合に見えますけど」
――では、民主党が対決姿勢を示したところで解散を打つのでしょうか?
「こっちで判断した意見というものと、意見が全然違ってきてるというのは、ちょっと正直申し上げて、私らとしてはちょっと、だいぶん予定が違ったなぁとは思ってますよ。それが一つと、もう一つはやっぱり、経済情勢っていうのは、かなりそのころに比べて、22日頃と、今とじゃ、だいぶ経済情勢、実体経済に与える影響っていうものは、ぼくは想像していたよりは遙かに大きくなっていると思いますね。なんとなく、そうみんな国民も感じてないはずがないと思いますけど」
――9月15日を境に、政権構想を描いていたと思うのですが、解散の時期というのは当初の予定、構想よりも先延ばしにされるという感じになったのでしょうか?
「あのぅ、何となくみんな、総理大臣の頭の中には解散の時期が初めから決まっている、という前提ですべて考えておられるから間違えられるのだと思いますけどね。状況っていうのを見て、今の状況は少なくとも政局よりは政策、いわゆる経済政策、景気対策ということになってきている。それが世論と、ぼく自身はそう思っていますけど」
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上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」「小泉の勝利 メディアの敗北」「田中真紀子の恩讐」など著書多数。
永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。