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【主張】米資本注入 資産買い取りもセットで 

2008.10.16 03:15
このニュースのトピックス金融危機

 米国が金融危機対策として、国内の大手金融機関に一斉に資本注入すると発表した。

 日米欧が先の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でまとめた資本注入を柱とする行動計画の具体化である。危機の震源地の米国が欧州に続いて資本注入に動いたため、パニックに陥っていた株式市場はようやく冷静さを取り戻したようだ。

 しかし、すぐに金融危機が収束するわけではない。米国は今月3日に成立させた金融安定化法の内容を詰めて、早急に次の一手に動かねばならない。

 米国の資本注入枠は2500億ドル(約25兆円)でシティグループやゴールドマン・サックスなど大手9社が注入に同意した。

 資本注入は金融安定化法で用意された公的資金7000億ドルから支出し、政府が議決権のない優先株を取得する方針だ。欧米の金融市場は銀行間の資金の流れが止まる緊張状態にあっただけに、資本注入によって信用不安を和らげる効果が期待できよう。

 しかし、市場の安心を得るにはまだ不十分である。米国は今回、金融機関の経営実態を把握しないまま資本注入を行うとみられ、サブプライムローン関連の金融商品を抱えて金融機関がどこまで厳密に不良資産を評価しているかが分からない。それでは、信用不安を払拭(ふっしょく)することはできまい。

 金融安定化法のそもそもの柱は不良資産の買い取りである。それが、事実上ストップしている金融商品の取引を動かし、金融機関の不良資産の償却を可能にすると期待される。米政府は早急に資産価格の算定手法を決めて、不良資産の買い取りも実施すべきだ。

 それによって金融機関は損失を早く確定させることができる。損失を穴埋めして資本が足りなくなったら、追加の資本注入を行うのも当然である。企業や個人に対して資金を貸し出す金融機能を早期に回復させるには、不良資産の買い取りと資本注入はセットでなければ効果がない。

 米国発金融危機はすでに貸し渋りや貸しはがしを通じて、世界の企業活動や消費、雇用に影響している。今後もG7各国が金融政策をはじめ、必要な対策を怠りなく実行すべきだ。

 日本も長く空席だった日銀副総裁人事がようやく決まる見通しになったのを機に、金融危機対応に改めて万全を期すことだ。

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