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【主張】冷凍インゲン 日中協力して早期解明を

2008.10.16 03:14
このニュースのトピックス主張

 東京都内の主婦が食べた中国製冷凍インゲンから有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された。基準値の3万4500倍という高濃度で、とても残留農薬とは考えにくい。

 厚生労働省は「残留ではなく、混入の疑いが強い」と判断し調査に乗り出した。警視庁も人為的に混入された可能性があるとみて捜査を始めた。

 主婦は舌のしびれやむかつきなどの体調不良を訴え、一時入院した。人命にかかわる重大な問題である。ジクロルボスがどの段階でどのように混入したのかは、不明である。事故なのか。それとも故意によるものなのか。徹底した調査、解明が求められる。

 警視庁の鑑定によると、インゲンが入っていた袋には主婦がはさみで開封した以外には故意に開けられた穴などは確認できなかった。一方、輸入元のニチレイフーズはインゲンを生産した中国の農場と冷凍処理した工場のいずれでも、ジクロルボスが使用されていなかったという。ならばどうしてこれだけの濃度の殺虫剤が混入したのだろうか。

 中国製冷凍ギョーザを食べて下痢や嘔吐(おうと)を起こした中毒事件でも、ジクロルボスと同じ有機リン系殺虫剤のメタミドホスが検出された。しかもその濃度は高く、何者かが故意に混入させた疑いが極めて強い。

 しかし、中国は当初、「中国内で混入した可能性は極めて低い」との見解を示し、日本側と真っ向から対立した。その後、日中両国の捜査当局が流通過程などの捜査を進めたが、事件の発覚から約9カ月が経過しても犯人は特定されていない。

 今回の冷凍インゲンも前回のギョーザ事件も、日本にとっては食の安全にかかわる重大事であり、中国にとっても自国の輸出食品全体にかかわる信頼性が問われる深刻な問題である。

 それだけに、混入の原因など全容を解明することが日中にとって大きな利益になる。ここは両国とも事実を隠さず、都合の悪いことでも明らかにする努力が必要である。日本と中国が緊密にかつ前向きに協力し合わない限り、原因究明は困難である。

 今後、愉快犯や模倣犯といった類似事件が起きる可能性も否定できない。食品に毒物を入れるテロの発生も心配だ。日ごろからの危機管理を怠ってはならない。

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